
プーチンのロシア軍による北海道はあり得るのか…防衛省が想定する「決戦」のシナリオ
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現在、北海道に配備されている戦車は、90式戦車を主力とする東千歳駐屯地の第7師団200両のほか、
上富良野駐屯地の戦車連隊をはじめとする第2師団の約60両、鹿追駐屯地の戦車大隊などを加えて、
計300両ほどだと思われる。
だが、ロシア軍が道北だけから上陸するとは限らない。
道央に配置された第7師団の戦車約200両は状況に応じて、帯広、旭川、札幌の防衛に回る必要がある。
つまり自衛隊の戦車が効率良く集結し、ロシア軍と対峙できる保証はないのだ。
しかも、ロシア軍の脅威は地上部隊だけでない。
「ロシア軍は上陸する前に、自衛隊の防空レーダー施設や主要基地、通信、電力などの重要インフラ、
飛行場などを狙ってミサイル攻撃を仕掛けてくるでしょう。さらにサイバー攻撃も行われる。つまり、
作戦対象地域をマヒさせたうえで、侵攻してくることになります。
そして、侵攻が開始されたら、爆撃機、戦闘爆撃機が本土から出撃し、地上部隊を援護します。
また、巡航ミサイル『カリブル』は射程が1200〜1500kmなので樺太から重要目標に発射可能です」(山下氏)
■ロシアは何でもする
上陸後にはウクライナ侵攻の際にも使用された短距離弾道ミサイル「イスカンデル」による攻撃も加わるだろう。
日本有数のロシア兵器研究家の多田将氏が解説する。
「ロシア軍の東部軍管区(極東担当)に『イスカンデル』の発射車両は48両あります。一両で2発積めるので、
96発のミサイルを同時に撃つことができます。射程距離は約500km。北方領土からなら北海道が十分に射程圏内に入ります」
空からの援護を受けたロシア軍の戦車を止めることは簡単ではない。
「さらに連れ去られた民間人が、ロシア兵に組み込まれているという情報もあります。
あるいは、捕虜になったウクライナ兵が極東に移送されることもありえる。
彼らが、北海道侵攻に動員される可能性もあります」(世良氏)
ウクライナ兵が正規軍の「弾除け」として派遣されることすら考えられるのだ。ロシアは勝つためには手段を選ばない。
軍事ジャーナリストの菊池雅之氏が言う。
「ゲリラ活動や破壊工作といった『不正規戦争』を仕掛けてくる可能性も高い。特殊部隊を民間人として
徐々に日本に入国させて、同時に武装蜂起を行わせることもありえるでしょう。武器は、漁船にでも紛れ込ませて、
長期間かけて持ち込んでいく。それに加えて、化学テロにも警戒する必要があります」