
小学生の「ランドセルが高すぎる」はリユースで変わるのか ミレニアル世代に「中古はネガティブではない」という意識
https://news.yahoo.co.jp/articles/514a73fb6c0946736be74489ba212fe66df64bbd
5月にピークを迎える来年度入学向けのランドセル商戦。ランドセルの購入価格は年々高くなる一方で、リユース(再利用)のランドセルを求める保護者が増えてきている。
■リユース品の無償譲渡会
「すごい! めちゃくちゃきれいなランドセルじゃないですか」
色とりどりのランドセルを前に、家族3人で会場を訪れていた30代の母親は感嘆の声を上げた。
4月末、神奈川県川崎市の介護施設で開かれたランドセルの譲渡会。
9個ほど並んだランドセルは、新品と見間違うほど状態がよいが、実はすべてリユース品だ。
母親はこう話す。
「ランドセルは新品を買うと、とても高い。うちは祖父や祖母もランドセルを買ってくれる状況ではないので、助かります」
男の子は青いラインで縁どりされた黒のランドセルを選び、うれしそうに帰っていった。
■中古でもきれいな品が多い
譲渡会を開いた学生服リユースショップ「さくらや」川崎店のオーナー・金川知美さんは、こう説明する。
「最近はランドセルにカバーをつけて使うお子さんが多い。高学年になると、ランドセルではなく、リュックサックを使うお子さんもいる。なので、きれいな品が多いんですよ」
さくらやは学生服のリユースショップだが、ランドセルの譲渡活動を始めて12年になる。すべての店舗でランドセルの譲渡を行っているわけではないが、直近の6年間で全国で1022個のリユースランドセルを譲渡した。
■今年度の平均購入価格は6万円
いま、ランドセルの中古市場が活気づいている。
ランドセルは高額だ。ランドセル工業会の調査によると、2025年度の新1年生のランドセルの平均購入価格は6万746円で、今年初めて6万円を超えた。6万5000円以上のランドセルを購入した人は全体の43.8%を占める。
だが、高額で購入したランドセルも小学校の6年間でおおむね「用済み」になる。
子どもが小学校を卒業した後、処分に困ったランドセルを製造会社やNPOなどが回収する仕組みは以前からあった。だが、そうして回収されたランドセルの多くは発展途上国に送られ、国内で流通することはほとんどなかった。
その状況が、いま、大きく変わりつつある。
■天使のはね約7600円、ララちゃん7900円
中古ランドセルの最も大きな市場はフリマアプリだろう。
たとえば、「メルカリ」の昨年のリユースランドセルの取引数は5650件で、14年と比較して、約25倍に伸びている。
価格は、新品を店舗などで購入する場合と比べて数分の1。ブランド別で見ると、「天使のはね」(セイバン)は平均価格約7600円(新品・未使用品を含むすべての商品)。「ふわりぃ」(協和)は同約5800円
。「ララちゃん」(羅羅屋)は同約7900円。「土屋鞄(かばん)」(土屋鞄製造所)は同約1万1900円。「フィットちゃん」(ハシモトBaggage)は同約9600円。
名古屋市のように、リサイクルセンターに持ち込まれたランドセルをメルカリで販売する自治体もある。こちらは1個500円程度と、かなり安価だ。
「ブランド・コラボ・ランドセル」など、限定デザインの商品は「子どもがすぐに飽きてしまい、ほとんど使用せずに出品される」ことがある。
そのため、質の高いものがかなりお手ごろな価格で購入できるという。
■リユースする意識の広がり
10年ほど前は、メルカリで取引される品物は高級バッグのような資産価値のあるものが大半を占めていたという。しかし、次第に日常生活で使用する品物が増えてきた。ランドセルもその一つだという。