少し前のデータになるが、東京都のモニタリング会議が2021年4月に公表した資料によると、2020年11月1日〜2021年3月31日の期間に新型コロナウイルスで亡くなった人の平均年齢は82.2歳である。さらに、亡くなった人の大多数は70代以上の高齢者だ。この数字を見て「寿命が来た」と捉えるのがまっとうだと、私は思う。だが、多くの人は「とにかくコロナが怖い」という思考が先立つせいか、日本人の平均寿命が女性は87.74歳、男性が81.64歳(どちらも2021年7月、厚労省発表)ということを念頭に置かず、ただ恐怖感しか抱かない。
作家の村上春樹氏は『ノルウェイの森』のなかで「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」と主人公のワタナベに言わせた。これこそが真理なのだ。「死」を人生最大の恐怖と捉える人にとって、ワタナベのこの発言はなかなか理解できないかもしれないが、死は人生を構成する出来事のひとつとして、誰のもとにも必ず訪れる。
人間は致死率100%
断言するが、これが真実である。一切の異論は許さない。
https://president.jp/articles/-/53323?page=4