携帯電話の「対応バンド」が新たな“縛り”に? 総務省の会合で議論へ

 携帯電話が通信を行うには、大前提としてBandに対応する無線機器(モデムやアンテナ)を搭載する必要がある。しかし、対応する通信規格やBandを多くすると、その分だけ設計/開発、検証や製造にかかるコストが大きくなる。また、対応Bandを多くすると、その分だけアンテナの搭載数を増やしたり、搭載するアンテナを大型化したりする必要が生じる。

 一部のモデルを除き複数の国/地域で販売されることもあって、iPhoneは対応するBandが比較的多い。iPhone SE(第3世代)における日本専用モデル、iPhone 12/13シリーズにおける米国専用モデル、iPhone XS/XR以降の中国向けモデルのように特定の国/地域で販売されるモデルについても、世界中の主要なBandは広くカバーしている。「世界のいろいろな場所で使うためのスマートフォン」という観点では、iPhoneは理想的な1台といえる。

 一方で、日本で販売されるAndroidスマホ、とりわけ国内キャリアに納入されるモデルは他キャリアで使われている一部のBandに対応しないことが多い。

 2021年10月以降に発売された端末は原則としてSIMロックを禁止されているため、理論上はSIMカードを入れ替えるだけでキャリアを乗り換えられるようになった。しかし、他キャリアで利用されているBandの一部、または全部に対応しない端末が存在しており、他社のSIMカードを入れると問題が発生する可能性がある。

 この問題は、競争ルールの検証に関するWGでも指摘があった。場合によってはSIMロックに近い囲い込み(キャリアの乗り換え抑止)効果を発揮するからだ。

 国内で販売されるAndroidスマホ(特に大手キャリア向けモデル)では、販売(あるいは利用を想定している)キャリア以外のキャリアにおける対応Bandの一部、または全部に対応しないことがある。その影響で、他キャリアのSIMカードを入れると端末が本来の性能を発揮しきれない可能性がある。

 今回の会合では、総務省が主要なメーカーの端末におけるBand対応状況をまとめた資料を提示している。同省としては、SIMロックの原則禁止が実現したので次は対応Bandの問題にメスを入れようと考えているようだ。

 ただし、端末の対応Bandを決定する権利は、それを設計/開発、製造する端末メーカーにある。国内外で必要な認証も、端末メーカーが取得している。そのため、今までの問題とは異なり端末メーカーの意向(考え方)が大きなポイントとなる。

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