モリソン首相「ソロモン諸島に中国基地は警戒線」

「太平洋島嶼国も危機感を感じることになる」

 4月24日付ABC放送(電子版)は、スコット・モリソン連邦首相が、「ソロモン諸島が中国と安全保障協定を締結し、
中国がソロモンに軍事基地を置くようになればオーストラリアやアメリカにとって警戒線となるばかりでなく、
他の太平洋島嶼国も危機感を感じることになる」と語ったと伝えている。

 モリソン首相は、「オーストラリアは目の前に中国海軍基地を造らせない」と語ったが、
実際に基地ができた場合にオーストラリアがどういう対応を取るのかは明らかにしなかった。

 また、バーナビー・ジョイス連邦副首相は、「ソロモン諸島は中国と安全保障協定を結ぶと国家主権が危うくなる」と発言している。

 中国とソロモン諸島が最近署名した安全保障協定について、また、それがオーストラリアや他の太平洋諸国にとってどういう意味を持つのか、
また中国がこの協定を盾にとって太平洋地域に軍事的な進出をすることになるかどうかに懸念が集まっている。
モリソン首相は、「これはオーストラリアだけでなく、地域諸国が抱いている懸念でもある。
特にフィジー、パプア・ニューギニアなどの国々にとって影響は大きい。
オーストラリアは提携国のニュージーランド、アメリカと協力し、ここに警戒線を引きたい。
目の前に中国軍事基地を置かせることはできない」と語っているが、
保守連合が政権を維持した場合にどうするつもりなのかについては考えを示さなかった。

 モリソン首相は、「ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相は、中国に軍事基地を置かせないと確約した。
ソガバレ首相も私達と同じ懸念を持っていると考えられる」と語っている。

 一方、労働党のペニー・ウォン影の外相は、「保守連合連邦政権は、2021年にソロモン諸島と中国の協定の話が伝えられた時に
これを阻止するため、マリス・ペイン外相を派遣するなどの努力をすべきだった」と語り、
「労働党が政権の座に就けば、太平洋地域諸国への海外援助資金を増額する」と公約している。

 また、「もし、これまでも労働党が政権の座にあればもうちょっと違った政策を取っていたはずだ。
まず、開発と国家安全保障に必要な海外援助、開発援助の額を切り詰めることはしない。毎年平均28%も減額することはしない。
また、気候温暖化で海面の水位が上昇し、太平洋の島国の領土が海に沈んでいくことをピーター・ダットン大臣のようにバカにすることはしない。」
と語っている。

 また、労働党のジム・チャーマーズ影の財相も、「保守連合政権が海外援助額を切り詰めてきたことが原因の一つだ。
気候変動で信頼できるパートナーになるためには信頼できる気候変動政策を手にしなければならない」と語っている。

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