なぜ電力不足が起きているのか? 「儲からぬ」と火力を休廃止 再エネに必須なバックアップ電源なし

https://www.chosyu-journal.jp/shakai/23747

電力の消費量を見ると、産業用も家庭用も減少傾向にある【グラフBC参照】。省エネ推進や人口減少、海外への工場移転などが進み、今後電力需要が増える見通しはない。日本総研は2050年までの30年間で電力需要は23・4%減少すると予測している。減少幅はそれ以上だと見る専門家もいる。そのもとでの昨今の「電力不足」は、実際に電力供給能力がないのではなく、「電力自由化」や「再エネ推進」といった政府の政策に根源がある。



 電力自由化前は、大手電力会社は必要とされる電源をある程度まで採算度外視で確保することができた。価格よりも安定供給が優先され、発電コストは総括原価方式による電気料金で回収することができた。そのもとで巨額の設備投資を必要とする原発建設もおこなってきた。



 電力自由化によって、日本社会における電力の安定供給に責任を負う主体が存在しなくなった。政府がまずその責任を放棄したことが最大の犯罪だ。さらに各電力会社は自社の利益追求を最優先し、採算があうかどうかを唯一の基準に設備投資計画を進め、安定供給にとって必要な火力発電も採算にあわないと判断すれば次々に廃止してきた。そのもとで電力の安定供給体制は崩壊し、大停電がいつ起こっても不思議でない危険な状態に陥っている。



 新規に電力市場に参入した新電力にしても、もうからなければ電力の安定供給の責任は放棄してさっさと撤退し、地域住民の電気料金が倍になる事態も発生している。

かつては「電力の安定供給の優等生」といわれた日本が、今や停電大国になる寸前に落ちぶれている。社会に電力を安定供給するという責任を投げ捨て、私企業の目先の利益を最優先する姿勢がもたらしたものだ。