7月14日の会見で、岸田文雄首相は国葬を決定した理由について、「憲政史上最長の8年8カ月にわたり総理大臣の重責を担い、東日本大震災からの復興や日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開など、さまざまな分野で実績を残した」などと説明。選挙中の蛮行で逝去したことに、国内外から追悼が寄せられていることも考慮したという。

 安倍元首相の訃報以降、“国葬論争” はネット上で紛糾してきた。反対意見の一つが、「法的根拠がない」とする声だ。事実、1926年に制定された「国葬令」は、戦後、日本国憲法の施行とともに廃止されている。以来、1967年の吉田茂氏を除き、首相経験者の国葬はおこなわれていない。

 そうした声を考慮したのか、14日の会見で岸田首相は、安倍元首相の国葬開催の法的根拠について、「内閣府設置法」をあげている。

「内閣府設置法において、内閣府の所掌事務として、“国の儀式に関する事務に関すること” と明記されています。よって、この国の儀式としておこなう国葬儀については、閣議決定を根拠として、行政が国を代表しておこない得るものであると考えます」と説明。内閣法制局とも調整済みだという。

 法的根拠は示されたものの、発表後、世論はあらためて真っ二つに割れた。全額国費でまかなわれる点や、安倍元首相の政策の功罪など、議論のポイントが多すぎる状況だ。

「野党でも、国葬に対する意見は分かれています。国民民主党の玉木雄一郎代表は《国の内外から広く哀悼の意が寄せられており、国葬とすることについては理解できる》とコメント。一方、立憲民主党の泉健太代表は《国葬がふさわしいかどうか慎重に議論すべきだった》とし、国会での閉会中審査を求める方針です。

 日本維新の会の松井一郎代表は《反対ではないが、『反安倍』はたくさんいる。批判が遺族に向かないことを祈っている》と懸念を示しました。共産党、れいわ新選組、社民党は反対の意向です」(政治部記者)

 ネット上では、いまも議論が沸騰している。https://news.yahoo.co.jp/articles/0424d873515f60e2503857497364002804059ede