CAが感じた「創業社長」のすごみ、JALで稲盛和夫氏にも見た覚悟のオーラ
東京~ニューヨーク往復のファーストクラスの航空運賃は、時期により異なりますが、270万~290万円が相場で、経済力がないと気軽に利用できません。
それゆえ、ファーストクラスに乗る人の多くは、会社経営者など経済的にも社会的にも「一流」と呼ばれる人たちです。ただ、一言で「経営者」といっても、大きく2通りの属性があると感じます。今日は、そんな経営者のタイプについてです。
「サラリーマン社長」と「創業社長」の雰囲気の違い
経営者は2つのタイプに分かれます。
大企業の中で実力を付け社長の座まで上り詰めた「サラリーマン社長」と、自ら会社を設立した「創業社長」の2つです。
どちらも会社の代表であり、すべての責任を負うという重責を担い、大変な役職であることには違いはありません。ただ実際に接してみると同じ社長という役職でも、人との接し方や振る舞いにはやや違いがあるようです。
まずは、誰もが知る有名企業や東商プライム上場企業の「サラリーマン社長」についてです。会社名だけでなく、社長の名前も顔も世間に広く知られる社長ですので、当然「会社の顔」として広告塔のような役割を演じ、振る舞いもとても紳士的です。
日本でよく知られる、ある健康医療機器を扱う会社の社長のエピソードをご紹介しましょう。
ファーストクラスのお食事サービスが終わり、CAたちがアイドルタイムと呼ぶ何もサービスをしない時間帯に、ギャレーと呼ばれる機内のキッチンで一息ついていました。そこへ社長が一人でいらっしゃいました。
そして、CAたちが普段から重宝している「あるもの」をプレゼントしてくれたのです。
● 新製品の歩数計を乗務員全員にプレゼント
「何かご用でもあるのかなぁ」とお伺いしたところ、おもむろに袋から何かを取り出しました。
そして、「これは当社が新しく発売した最新の小型歩数計です」と歩数計を手に取り新しい機能と使い方を一通り説明され始めたのです。
仕事柄、多くの乗務員は健康管理にはとても気をつけています。フライト中に歩数計を付けて乗務し、ステイ先で歩く距離を管理しているCAもいます。
その便でファーストクラスを担当したCAも、新商品の歩数計に興味津々で熱心に社長の説明を聞いていました。
そして、「よかったら、みなさんで使ってみてください」と当時15人ほどいた乗務員全員に歩数計をプレゼントしてくださったのです。
普段であれば、社長自らが新商品の説明や営業活動はなどしないはずです。それが秘書も伴わず、発売したばかりの歩数計を乗務員にプレゼントするつもりで、人数分を自ら持参しご搭乗になったのです。
たまたま持ち合わせた自社商品を、担当した乗務員にプレゼントしてくださる社長は過去にもいらっしゃいましたが、新商品を乗務員全員にプレゼントするためにわざわざ持参するということは、事前の準備も必要なはずです。
それも1つや2つではなく、15個です。そんな社長のお気持ちとご配慮を思うと、今でも感動した記憶がよみがえってきます。
自らが会社の代表として、自社製品に愛情を持ち、それを世の中に広めていきたい、誰かのお役に立ちたいという社長の強い思いが感じられました。
日本を代表する企業として、トップが自らセールスマンとして会社の顔を演じるスマートさがありました。
そんな中、今でも強烈に記憶に残っている大阪の会社の社長がいらっしゃいました。
大阪でコンサルティングの会社を営み、60代半ばで見るからに関西人という雰囲気を漂わせています。持ち物も黒いクロコダイルのポーチ、ちょっと派手めなポケットチーフをのぞかせ、一見話しかけるのをためらってしまうようなこわもてでした。
その上、インパクトのある関西弁、かなりのせっかちでサービスが少しでも滞ると、「何やってんの!はよ、持ってきて!」とすかさず大阪弁で叱責が入ります。
私は生粋の関西人ですので、少々きつい関西弁で話しかけられても、あまり気にはならないのですが、一緒にファーストクラスの客室をサービスしていた配下のCAは、ややきつい口調の大阪弁で話しかけられるだけでびくびくしていました。
そこでチーフである私が主にサービスに当たりました。お話好きの社長は創業にまつわる話や事業の話、社員への思いと関わり方などを話し始められ、強い個性が伝わってきました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/32f9e204f4cd22a6a90d241794c77abd1c7013e9