岩手県奥州市埋蔵文化財調査センターは5日、同市の国指定史跡「 胆沢 城跡」から出土した「 漆紙文書 」について、
現代の戸籍に近い「 歴名簿 」だった可能性が高いとの分析結果を発表した。
出土当時は文字を確認できなかったが、今回、赤外線テレビ装置による解析で判明した。

胆沢城は平安時代の802年、坂上田村麻呂が造営した城柵で、朝廷の政治的・軍事的な拠点だった。

 同センターの佐久間賢所長によると、1983年の発掘調査で出土した漆紙文書は縦約26センチ、横24・7センチ。

 今回の分析結果では、25行にわたって文字が記載され、1行ごとに個人の名前、年齢などを列記していた。
判別できた性別で見ると、女性16人、男性1人と女性に偏っている。

 国内の他の遺跡で発見された歴名簿にも同様の傾向が見られ、
佐久間所長は「女性は税負担が軽かったため、男性を女性に書き換えた『偽名簿』だったのでは」と解説する。

 また、76年の発掘調査で出土した 硯 も3年前から分析を進めた結果、墨書で「 宇曹 」と書かれていることが分かった。

 「宇」は 蝦夷 の有力豪族「 宇漢米公 」を指し、「曹」は詰め所を意味するという。正門近くで出土したことや、
宇漢米公が短弓の名手とされることから、同センターでは「正門の警備を担当していた可能性が高い」とみている

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