実は今回買い替えたほうが賢い?「世界一安い日本のiPhone」が20万を超える未来

9月に発売された最新iPhoneの価格は、いちばん手頃なモデルでも約2万円の値上げとなった。経営コンサルタントの鈴木貴博さんは「それでも日本のiPhoneは世界一安い。物価高や円安の影響で、次のiPhoneは20万円は確実に超えるだろう」という――。

以前は「iPhoneシェアが5割を超えるのは日本とアメリカだけ」といわれていましたが、最近ではドイツやフランス、カナダ、そしてオーストラリアなどもiPhoneシェアが5割を超えてきています。一方でインドやブラジル、ロシアなどはiPhoneは3割前後のシェアしかありません。
その理由を平たく言うと「iPhoneは中流層以上の階層が好んで購入し、Androidはそれ以外の層が購入する傾向がある」からだと経済的には分析されています。ファクトとしてみるとその国の一人あたりGDPとiPhoneシェアには緩やかな相関関係が見られます。
このグラフからざっくりと傾向を読み取ると、途上国では圧倒的にAndroidのシェアが高く、先進国グループに入ってくるとiPhoneシェアが3割から5割のレンジになり、さらに先進国の中でも裕福な国々では最終的に5〜6割のシェアレンジに上がっていく傾向が読み取れます。
このグラフを眺めると圧倒的に例外に位置付けられるのが日本です。経済的には低成長で、所得の二極化や若者の貧困が社会問題になってきていて、サイゼリヤやGU、百均などコスパの良いお店がにぎわう国であるにもかかわらず、なぜかiPhoneだけは国民が大好きなのです。
そこで冒頭の問題なのですが、もしiPhone本体が20万円の時代に突入したとしたら日本人はこの7割のシェアを維持できるのでしょうか? 一流会社の正社員家族は生活を維持できたとしても、ごくごく一般の庶民の懐事情で、円安による電気代やガソリン代、食費や学費などさまざまな値上げラッシュで家計を工夫しながら、iPhoneの大幅な値上げにどこまでついていけるのでしょうか?

これからはAndroidに乗り換える日本人が増える

iPhone6やiPhone8あたりからiPhoneを使い始めた方は覚えていらっしゃると思いますが、当時はiPhoneの価格は7万円前後が最低価格でした。ある意味、誰でも買えたのです。心理的には10万円の壁というものがあって、今回はその壁を超えてしまった。これから先は経済次第で、私たち日本人に価格をコントロールする力はなさそうです。
グラフから読み取れることは、
「もし今の日本経済の苦境がこのまま続き、最低賃金も上昇せず、円安でただ物価だけが上昇する事態に陥ったとしたら、将来的に日本のiPhoneシェアは40%台に落ち込むのではないか?」
ということです。あと1〜2年でかなりの数のiPhoneユーザーがAndroidに乗り換える事態が起きるかもしれないのです。
https://president.jp/articles/-/62577