寒くなると脳が4分の1に小さくなる! 不思議な哺乳類「トガリネズミ」の驚くべき生態
https://news.yahoo.co.jp/articles/cfbf3e40a54c268242d9bf13a53060ff01cfa889

ヨーロッパトガリネズミは、代謝が高く、昆虫、クモ、ナメクジ、ミミズなどを休みなく追い続けている哺乳類だ。スコットランドの高地からシベリアのツンドラ地帯にまで生息し、人間の聴覚では聞き取れない高音で鳴き、その反響を聞きながら土のなかを移動する。

「トガリネズミはとても風変わりな動物です。私たちが学べることはたくさんあります」と、ドイツのマックス・プランク動物行動研究所に所属する行動生態学者ディナ・デヒマンは言う。

食べ物が不足する真冬に備えて、多くの動物たちは活動の速度を落としたり、寒さをしのぐために冬眠したり、暖かい地域に移動したりする。

だが、トガリネズミは違う。寒い数ヵ月間を生き抜くために、自らの脳を消費するのだ。脳は4分の1にまで縮小する。だが、春になると脳内物質の多くが再生する。

季節によって脳やその他の器官が縮小・拡張するプロセスは「デネル現象」と呼ばれる。これにより、動物は気温が下がった際、カロリーを消費する組織を減らせる。ほかの小型で代謝の高い哺乳類の頭蓋骨にも、季節的な収縮が発見されている。イタチにも見られるし、最近ではモグラにもこの現象が見られるとわかった。

トガリネズミの驚くべき脳の縮小は、単に生物学的に興味深いだけではない。どのように脳の力を回復させているかがわかれば、人間のアルツハイマー病、多発性硬化症、その他の神経変性疾患の治療に役立つかもしれないのだ。