『かがみの孤城』いじめ描写に賛否 原恵一監督が持論「映画って道徳の教材じゃない」

 劇場アニメ『かがみの孤城』を手掛けた原恵一監督が8日、都内で行われた同作の大ヒット御礼舞台あいさつに、声優キャストの俳優・當真あみ、北村匠海、お笑いコンビ・オリエンタルラジオの藤森慎吾とともに出席した。
「2018年本屋大賞」を受賞した同作は、学校での居場所をなくし不登校になってしまった主人公・こころをはじめ、心に傷を負った中学生7人の冒険と成長の物語。閉じこもっていた中学生のこころの目の前で、ある日突然、部屋の鏡が光り始める。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物で、そこにはこころと同世代の7人が集められていた。城の中には秘密の「鍵」が隠されており、その鍵を見つけた者は、何でも願いが叶うという…ファンタジーミステリー。

 この日のイベントでは、MCから作品を絶賛するコメントの数々が紹介された。一方で原監督は「好意的な意見ばかりじゃない。僕の耳にはネガティブな感想も入っている。そういう方に僕の方から意見があります」と切り出す。

 「よく言われているのは『いじめの問題が解決されてない』ということがこの映画を否定する要素として言っている方がいる」と続けた原監督は「だけど、いじめの問題ってそんなに簡単に解決する問題じゃないからね?」と投げかける。劇中でハッピーエンドを描くことは容易なことだが「そんな映画は見たくないよ、嘘くさくて。映画って道徳の教材じゃない。そんなことを言う人は自由な時代だけど、そういう人たちに合わせて映画を作りたくない」ときっぱり語った。

 それでも「いじめ問題は無くならないよ、と放り投げたつもりはない」と補足し「(主人公の)こころは最悪な状態からファンタジーの力を借りて、それまでとは違うこころになれた。現実の学校でもそういうことは可能だと思う。それを信じたいと思うし、(この映画で)『いじめが解決してない』と言う方は、どうぞその問題を解決してください」と話した。
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