あれ陰湿でこわい
市井の人がネット検索とSNSで追いつめられる理不尽 仕事場の名札が契機にも(NEWSポストセブン)
https://news.yahoo.co.jp/articles/09793b106ab9e8fec184712a5dd26588b0256e66
(前略
都内在住の会社員・坂本あかねさん(仮名・20代)は、学生時代にアルバイト先の飲食店で、SNSを巡る恐怖体験を経験したと語る。
「実名でやっていたFacebookに、ある日、まったく知らない人から友人申請があったんです。間違いかも知れないと放置していたのですが、数日経つと、今度は同じ名前の別のアカウントからまた友達申請が来たんです。誰かのいたずらかと思いましたが、誰に聞いても心当たりはないらしく、気味が悪くなりFacebookのログインを控えていたんです」(坂本さん)
坂本さんが働いていたのは、関東を中心に展開する飲食店チェーンだが、カジュアルなファミレスや居酒屋などではなく、葬祭後や法事で利用されるタイプの店。そのため、スタッフには正装と、フルネーム名札の着用が必須とされていた。
「ファミレスやコンビニスタッフの方が、名札からSNSを特定された、みたいな記事を読んだことはあったんですが、まさか自分も?と恐ろしくなりました」(坂本さん)
ファミレスやコンビニでは、個人情報保護の観点から「すでに従業員の名札のフルネーム表記をやめている」(大手コンビニ本部関係者)というが、坂本さんの働く現場では、そうした配慮よりも、礼儀を尽くした接客や見た目といった「格」が重んじられたのだ。
「同僚にそのことを話したら、たまにお越しになる近所の男性がFacebookで友達申請してきたユーザーのプロフィル写真とよく似ているという話になり、それで相手の正体が判明したんです。私以外にも、同じように友達申請が来たり、中には受け入れてしまい、食事やデートに誘われた先輩女性社員もいて、外から店内の様子を覗いてくる、不意に声をかけてくる、などの”被害の声”も聞かれました」(坂本さん)
店の責任者が男性にその件を伝えたところ、来店はおろか店の近辺に出没することもなくなり、後日、従業員の名札も姓のみの表記に改められた。坂本さんたちは「今も名札をジロジロ見られているような気がして怖い」と、SNSのアカウントなど、第三者が個人的に自分にコンタクトをとれそうなネット上の情報を全て削除したという。
こうしたトラブルを避けるためにも、個人名や顔写真などは、できるだけネット上に出さないというユーザーは多い。自撮り写真は出しても首下だけ、手元だけという例も多く見かける。しかし、職務上、不特定多数の客の信頼を得るためには、どうしても名前や顔写真を出さなければならない、という人々も存在する。
「不動産店の営業職ですが、ネットで紹介している担当物件の一つ一つに、名前と顔写真が出ています。ネット検索すると、不動産系のサイトはもちろん、私の個人的なSNSや、部活動の大会の成績の新聞記事などもヒットします。名前を検索するだけで、勤務先も出身地も、出身学校もすべてわかってしまう状態なんです」
こう話すのは、都内の不動産会社勤務・和田弘平さん(仮名・30代)。声のトーンを下げ、続ける。
「実際、担当社員が若い女性であれば男性からの問い合わせが増え、その逆もあります。私も、中年の女性のお客様から何度も指名された挙句、SNSで友人申請が来ました。相手はお客様ですから、無下には断れませんでした」(和田さん)
こうして業務外の個人的なSNS上でも、顧客対応をせざるを得なくなった和田さんだが、女性客の行動はエスカレートしていった。内見のたびに和田さんを指名してきては「××高校出身なんだ」「自宅は××のマンションなんだね」と、和田さんのSNSで調べたのであろうプライベート情報を探ってきたが、それだけならまだよかった。和田さんのSNSに書き込みをしていた友人女性などにも、女性客が「和田さんとはどういう関係か」とメッセージを送りつけていたのだ。そして、彼女の言動は、エスカレートしていった。
「実は結婚しており、そのことはSNSで公表していませんでした。投稿を遡り調べたのか、妻のSNSにも、私と結婚しているのかと詰問口調のメッセージ、さらに私が不倫しているなどと嘘の告発が届きました。その後、詳細が表に出ていないはずの会社のスポーツ大会にまでその女性客が姿を見せ、じっと観察されたこともありました。さすがに怖くなって、担当を変えてもらいましたが、ネットに名前を出さないわけにはいかず、同じようなことが起きないか本当に恐怖しかありません」(和田さん)
(後略