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「日本のコントの歴史が変わった」 飛躍の中堅トリオが語る、キングオブコント伝説のコント師

M-1王者「錦鯉」に続く活躍を期待される遅咲きのネクストブレーク候補
昨年の『キングオブコント2022』で、15回目の挑戦にして初めてファイナリストに進出、決勝3位に残ったお笑いトリオ・や団。本間キッド、中嶋享、ロングサイズ伊藤からなる結成16年目の中堅トリオは、同事務所のM-1王者・錦鯉に続く活躍を期待される遅咲きのネクストブレーク候補だ。第1回大会から挑戦を続けてきたキングオブコントで、彼らは15年の歴史に何を見たのか。「日本のコントの歴史が変わった」という瞬間を、芸人目線で語ってもらった
まずは一風変わったトリオ名の由来について。
本間「本当に大した話じゃないんです。めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど、僕と中嶋が小学校のときの塾が一緒で、中学でちょっとしたストリートバスケの大会に出るときにチーム名をどうするかという話になって。ふざけて『ヤダ〜ン!』と言い合っていたのを『ヤ団』と言い換えたのがきっかけ。完全に中学生のノリです。それを中嶋が覚えてて、平仮名の『や団』の方がポップじゃないかと」

中嶋「とりあえず何か決めておこうという軽いノリでつけちゃったんですが、そのままズルズルと来ちゃった感じです」

――昨年のキングオブコントでは初のファイナリストに、飛躍のきっかけは。

本間「ネタの作り方自体はそんなに変わってないんですけど、勝てないので少しずつツッコミを変えてみたり。だんだん何をやっていいか分からなくなって、やけになってコンプライアンスに引っ掛かりそうな猟奇的なネタを思いつきでやってみたら、思ったよりもウケ方がよくて。何となくそれぞれのキャラクターが分かったというか、狂気じみた演技にしても、おのおのが自分の得意な方向性を分かってきたんです」

中嶋「ロングは演技うまいよね。僕は演技ができないので、結構素のまんまですけど」

伊藤「演技の経験はないですよ。ネタが始まったらスイッチが入る? 入るときは入るし、ふわふわしたままのときもありますけど、その時々ですかね」

本間「僕、思うんですけど、空っぽの人ほど演技がうまいんじゃないのかなと。何でも入っていくというか」

伊藤「失礼だな! 空っぽじゃなくて、無垢な人ね。純粋無垢な人」

本間「そうそう。舞台で映えるのはそういう純粋無垢な人と、あとはその人自身しかできないんだけど、それが面白い人。(バイきんぐ)小峠さんって全部小峠さんだけど、その小峠さん自身が面白いじゃないですか。僕は小峠さんに影響受けまくって、ツッコミが全部小峠さんになっちゃってた時期があって。『何でそうなるんだよ!』とか『覚えて……ないよ!』とか、それがなまじウケるもんだから、どんどん小峠さんに寄せていっちゃって、それを見たハリウッドザコシショウさんが『お前、小峠のモノマネしててもダメだよ』って」

伊藤「本間はボケからツッコミに転向したから、身近なツッコミの一番のお手本が小峠さんだったんです」

本間「悩んで知り合いの構成作家さんに相談したら、『お前は驚いておけば面白いよ』と言われて。そうか、驚けばいいのかと、怒るツッコミから驚くツッコミに差別化するようになった。そしたらザコシさんから『小峠が抜けてよくなったな』と言ってもらえて」

伊藤「こいつ、よほどうれしかったのかその場で号泣しちゃって。泣きながら『なんて日だ!』って言ってました。小峠さんに戻ってんじゃねえかって(笑)」
「東京03さんがリアルにしちゃったんですよ、コントってものを」
東京03のコントについて熱弁する本間キッド【写真:舛元清香】

――今年のキングオブコントは16回目の挑戦だが、結成から16年を振り返って。

本間「この15年でコントのレベル、もっと言うとお笑いのレベルそのものが上がりすぎて、ボケのパワーだけじゃ勝てない時代になってきた。コントだと、東京03さんが出てきたときに、人の心のニュアンスを拾うようなツッコミ、例えば『お前、本当は恥ずかしいんだろ?』とか、人の心の中を見透かすようなツッコミが出始めたんです。あれが日本のコントの歴史が変わったターニングポイントだったと思う