メールに@がある理由とは
https://news.yahoo.co.jp/articles/813f8fba882b15ebdae5810686d85ac7ad0d5861

 なぜメールアドレスに@(アットマーク)があるのか。1971年に電子メールを発明した米国の技術者レイモンド・トムリンソンさんは「コンピューターのキーボードを見ながら、名前と混同しない記号を考えた」という。一つのメールアドレスには「どこ」の「誰」に送るのか、二つの情報が要る。何かで区切らねば紛らわしい。軽い気持ちで選んだ@が今や、電脳空間で飛び交う膨大なメールの標準だ。

 その@がにわかに注目されている。新しい交流サイト(SNS)「スレッズ」がロゴマークに。1本のスレッド(糸)がくるっと回ったようなデザインだ。運営するのは米IT大手のメタ社。混乱続きのSNS「ツイッター」への挑戦か。ツイッター側はスレッズが知的財産権を侵害していると主張する。確かに見た目はそっくり。挑発し合う様子は、2本の糸が絡み合っているような。

 トムリンソンさんはある受賞スピーチで「自分が何をしたか理解していたか、とよく質問される」とジョークを飛ばした。開発から二十数年後、知人から感謝される。親戚が珍しい病気で、同じ悩みを抱える人とメールを通して出会えた、と。振り返ると「私がしたのはそういうことだった」。

 人と人を結ぶ真っすぐな糸を紡いだ。2016年に他界すると、メールサービスのGメールはネット上で追悼した。「電子メールを発明し、@を世に出してくれてありがとう」