2025年大阪・関西万博の会場建設費が現行の1850億円から数百億円規模で上振れする見通しになった。政府は国の追加負担分の一部を23年度補正予算案に盛り込み、10月にも開く臨時国会に提出する方向で調整を進める。人件費や建設資材の高騰が主な要因で、万博の会場建設費の増額は2度目。国家的プロジェクトで再び国民負担が膨れることになる。
会場建設費は、国と大阪府・市、経済界の3者で均等負担する取り決めになっている。上振れ分も取り決めに基づいて対応する見通しで、3者で詰める。自治体の公費負担や経済界からの拠出も増えることになる。
会場建設費でまかなうのは、外国からの賓客を迎える「迎賓館」やメイン会場となる「大催事場」といった共通設備のほか、著名プロデューサーが手がける八つのテーマ館の一部など。会場建設費は当初、総額で1250億円としていた。だが20年12月、政府は設備設計の変更や暑さ対策が必要になるとして、約1・5倍の1850億円に引き上げた。
しかし、足元では円安などを背景に想定を上回る物価上昇が続き、建設資材が高止まりしている。25年4月の開幕に間に合わせるための建設現場の人手の確保も課題で、大幅なコスト増が見込まれている。
資材費などの高騰が響き、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)が発注した大催事場やテーマ館など複数の施設で予定価格内での入札が成立しなかった。協会は仕様を簡素化したり予定価格を引き上げたりして入札をやり直し、落札にこぎつけるなど綱渡り状態が続いていた。
こうした事態を重く見た岸田文雄首相は8月31日、関係閣僚らを集めた会合を首相官邸で開き、政府主導で準備を加速する方針を表明。岡田直樹万博担当相(当時)は会場建設費について「増額の懸念が高まっていることは事実」としたほか、西村康稔経済産業相は必要な建設費を万博協会が精査したうえで、政府としての対応を検討する意向を示していた。
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