陸上の走り幅跳びでファウルがなくなる? 世界陸連が走り幅跳びの抜本的なルール変更を模索している。
検討案は、踏み切り板をなくして代わりに踏み切りゾーンを設け、踏み切った地点から着地点までの距離を計測するというもの。
ファウルをなくし、より興奮して楽しめる種目にすることを狙いとしているが、五輪の男子走り幅跳びで4連覇を果たしたカール・ルイス氏(62)=米国=は猛反発。
現役選手からも批判や戸惑いの声が相次ぎ、論争を巻き起こしている。(時事通信ロンドン特派員 青木貴紀)

現行ルールでは、幅20センチの踏み切り板の最も砂場側のライン「踏み切り線」から着地点までの距離を計測。踏み切り足が踏み切り線を越えるとファウルになる。
選手は少しでもロスを減らそうと、ぎりぎりから踏み切ろうとするため、当然ファウルになるリスクは高くなる。検討案では、ある程度の幅を設けたゾーン内で踏み切った位置から着地点まで、純粋に跳んだ距離を計測する。

 世界陸連のセバスチャン・コー会長は、昨夏の世界選手権(ブダペスト)で全跳躍の約3分の1がファウルだったと指摘し、
「われわれのスポーツは150年の歴史があり、絶対に守りたい要素、神聖なものがあるが、そこには人々を少し冷めさせてしまうものがある。革新から手を引くつもりはない」と主張。
世界陸連は今年から試行し、その結果を踏まえて導入するか判断する。ルールを変更する場合は、2026年以降になるという。

◆現役世界王者も「導入ならやめる」

 陸上界の英雄で世界的スターだったルイス氏は、自身のSNSで「エイプリルフールのジョークは4月1日まで待つことになっている」と検討案を痛烈に皮肉った。
その上で「走り幅跳びは陸上競技で最も難しい種目。そこから最も難しい技術をなくすだけだ」と非難した。

 21年の東京五輪、昨夏の世界選手権で男子走り幅跳びを制したミルティアディス・テントグル(ギリシャ)も強く反対した。
3月初旬の世界室内選手権(英グラスゴー)を8メートル22で制した後、「スプリンターのように走り、踏み切り板を完璧にたたく必要がある。ジャンプ自体は簡単。難しいのは駆け上がりだ」と解説。
「これを排除するなら、走り幅跳びは最も簡単な種目になる。もしそうなったら、もう走り幅跳びはやらない。三段跳びの選手になる」と憤った。

(以下ソースに続く)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0966c2bca6438691b8649ff536d6638fa8edea79