いつから日本の漬物は「残念な漬物」になったのか
市販の弁当の隅に添えられたピンクの「大根漬け」、真っ黄色に染められた「たくあん」、チェーン店などのテーブルに置かれている食べ放題の「つぼ漬け」……。

『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』

いずれも「不自然な甘さ」と「不自然な酸味」で、素材本来の味がありません。昔ながらの製法で作られた「漬物」とは、ほど遠いものです。
安く大量に生産され、「本来のおいしさ」とはほど遠いところにある漬物たち。いつから日本の漬物はこんなことになってしまったのでしょう。
こういう「残念な漬物」に出合うたびに、私は失望を禁じえません。

漬物のおいしさは「素材そのもののおいしさ」に「発酵による酸味やうま味」と「独特な風味」が加わって作り出されるものです。

たとえばたくあんの場合、天日干しすることで、水分が抜けて大根のうま味が凝縮され、その後、塩やぬかなどに漬けて乳酸発酵させることで、
独特の深みのある「うま味」や「甘み」「酸味」が醸し出され、さらに「食感」もよくなります。

いまどきの市販の漬物は、たくあんも梅干しもそのほかの漬物も、家庭で作られた昔ながらのものとは大きく変わってきてしまっています。
https://toyokeizai.net/articles/-/582721