サツマイモ基腐病の発生と防除の取り組み
【要約】
サツマイモ基もと腐ぐされ病が急速に全国に広がっている。基腐病対策の基本は「持ち込まない、増やさない、残さない」の三つである。最も重要なことは、無病健全苗を生産または確保し、圃ほ場じょうに植え付けることである。発生が認められた圃場では、生育初期の発病株の抜き取りと予防的な薬剤散布、排水対策、早期収穫、罹病残渣の持ち出しと分解促進、土壌消毒、抵抗性品種の利用またはかんしょ以外の作物との輪作、休耕などの対策を総合的に実施する必要がある。
1.国内での発生状況
2018年秋から、鹿児島県および宮崎県において、かんしょの株が立ち枯れ、塊根(イモ)が腐敗する症状が多発し、収量の減少が深刻な問題となっている。沖縄県のかんしょ産地でも同様の症状が認められており、これら3県では、国内ではこれまで発生報告のなかったサツマイモ基腐病(以下「基腐病」という)が発生していたことが明らかになった。本病は、2020〜21年秋冬には熊本県、福岡県、長崎県、高知県、静岡県、岐阜県、2021年夏以降には群馬県、茨城県、東京都、千葉県、岩手県、愛媛県、福井県、埼玉県、山形県、石川県、北海道でも発生が確認されており(2021年8月31日現在)、急速に全国に広がっている。広域的な感染拡大は、主に基腐病菌に感染した種苗の移動により生じる可能性が考えられる。
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002517.html