「ありがとう」の語源はポルトガル語の「オブリガード」から来ているという説が巷(ちまた)でけっこう話題になっているのをご存じだろうか。その逆で「ありがとう」が「オブリガード」になったという説もあるらしい。いずれにしても「アリガート」と「オブリガード」はよく似ているというのが根拠のようだ。日本人がポルトガルに行くと、しばしばそのように言われるらしい。
 だが、「ありがとう」は、形容詞「ありがたい」の連用形「ありがたく」がウ音便化した語で、ポルトガル語が日本に伝わる前から使われてきたれっきとした日本語である。ただし、日本にポルトガル船が来港し、日本人がポルトガル語と接触するようになった16世紀後半は、感謝の意味を表すことばは「ありがとう」ではなく「かたじけない」が主流であったと考えられているのだが。「ありがとう」が広まるのは江戸時代になってかららしい。
 確かに日本語の中にはカステラ、タバコ、パンなどのようにポルトガル語から取り入れられた語も少なくない。

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