中国の極超音速兵器、物理の限界試す領域に
https://jp.wsj.com/articles/china-is-expanding-its-effort-to-launch-weapons-from-hypersonic-missiles-11637631529

 中国は極超音速ミサイルから発射できる兵器の開発能力を着実に向上させている。
飛躍的な技術の進展を見せつけて米軍幹部に衝撃を与えた今夏の実験は、米国のミサイル防衛システムに
新たな脅威をもたらす取り組みの一環であることが改めて浮き彫りとなった。

 中国政府系の航空工業空気動力研究院(AVIC ARI)は、極超音速ミサイルがさらされる高速や高温を再現できる新たな風洞を近く稼働させると明らかにした。
風洞の役割には、極超音速滑空体から兵器を「分離・発射」させる実験が含まれるとしている。21日に声明文を公表した。

 極超音速滑空体は長距離ミサイルの弾頭部に位置する機動式弾頭で、発射されると、探知が難しい変則軌道で標的まで滑空する。

米当局者によると、中国が7月の実験で発射したミサイルは低周回軌道で地球を回った後、滑空体を発射した。
その滑空体はその後、これとは別に独自の飛翔(ひしょう)体を発射しており、
中国の技術力は物理学の限界を試す領域だと話している。

 これまで極超音速滑空体から飛翔体を発射できる能力を証明した国は中国以外には存在しない。
ミサイルの専門家は、これを成し遂げるには相当な技術的障害が存在すると指摘する。
音速の約5倍のスピードで移動しながら発射すれば、飛翔体は即座にかなりの高圧と高温にさらされるためだという。

 2発目の飛翔体が果たす正確な役割については分かっていない。
飛行する滑空体からミサイルが発射されれば、防衛はさらに難しくなる。考えられる可能性としては、
ミサイル防衛システムを混乱させるためのおとり、または二次ターゲットを破壊するためのミサイル発射などが挙げられる。