ルネサスに続きIntelもRISC-Vコア採用、Appleも追随か

英Arm(アーム)のCPUコア対抗として注目を集めるRISC-Vコア。ルネサス エレクトロニクスがRISC-Vコアを積極的に採用すると宣言したことによって、国内でも注目度が急上昇している。同社は2021年第4四半期中にRISC-Vコアを集積するASSP(特定用途向けの汎用製品)のサンプル出荷を始める。大々的な発表はなかったが、組み込み業界で話題を呼んだのが、米Intel(インテル)がFPGA向けのCPUコアとして、RISC-Vベースの「Nios V/m」の提供を始めると、21年10月に明らかにしたことである 公式ブログ 。ここに来てRISC-Vになぜ注目が集まっているのか。

AppleもRISC-Vを積極採用か

 さらに、イベントに併催の形で国内の報道機関向けの会見もあった。会見ではRISC-V協会に所属する河崎俊平氏(SHコンサルティング)が登壇した。同氏によれば、実際のICに集積されたRISC-Vコア数は40億個を超えており、順調に浸透しているとのことだった。さらに、「米Apple(アップル)がRISC-V設計経験者を募集しており、AppleがRISC-Vを積極採用するのでは」との期待を述べた。また、半導体不足の影響はRISC-Vにも及んでおり、世界最大のRISC-Vマイコンメーカーである中国GigaDevice(ギガデバイス)の製品がネットで買えない事態になったという。

このほか会見で河崎氏は、RISC-Vが優れている10の理由を紹介した。第1は命令セットがモジュール化していて、32ビット、64ビット、128ビットのコアが簡単に作れること。第2は命令密度が高いため、メモリー容量が低くできること。64ビットRISC-Vコアは32ビットArm Cortex-Mコアとほぼ同じ命令密度だという。第3はRISC-VコアベースのSoCのハードウエアを自動生成するツール(ジェネレーター)があること。Linuxが走るマシンが簡単に作れるという。第4はRISC-V規格は実際に作ってみて検証してから公開されること。規格に沿って作れば動くことが保証されていると考えられるという。第5はRISC-VプロセッサーベースのPCが登場したこと。21年はデスクトップPCが中国メーカーから登場し、22年にはラップトップPCが出荷される見込みだという。

 第6はソフトウエアコミュニティーがRISC-Vの味方であること。Linuxのディストリビューション「Debian」のOfficial Architectureに認定されることが次の目標だという。第7は、ハードウエア自動生成に適したHDL(Hardware Description Language)の「Chisel」で記述されていること。第8は、米DARPA(国防高等研究計画局)の肩入れによって高いセキュリティー機能を備えていること。第9は米Google(グーグル)らのオープンソースPDK(Process Development Kit)の設計例にRISC-Vが採用されていること。第10はEnd-to-End Cloud(すべてクラウド)戦略を採っていることだとした。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01537/00270/