■今の構造は正規が非正規を搾取している、派遣がどうこうと言う話ではない

 ――非正規雇用に関連して、「弱者切り捨て論者」と見られがちです。

 それは単なる誤解ですよ。働き方、雇い方は本来自由でないといけない。製造業の大企業なら、今までのような終身雇用・年功序列で、技術をオン・ザ・ジョブ・トレーニングで伝えていくのも悪いやり方ではない。雇用も安定しますし。

 しかし、今製造業が占める割合は20%弱で、それ以外では多様な雇い方、多様な働き方ができたほうがいい。終身雇用・年功序列前提でない制度にしていかなければならないわけです。派遣で働いている人にアンケートを取ると、派遣がいいからこれで働いていると答える人も多い。これは多様な働き方・多様な雇い方を可能にしている。

 ただし、多様な働き方をするうえで不平等があってはならない。残念ながら現在は、正規・非正規の間の「同一労働同一賃金」がまったく実現されていない。ここが大きな問題です。

 今の構造はある意味単純で、正規社員が非正規社員を搾取している。生産性に合わせて賃金が支払われなくてはならないのに、自分の生産性より高い賃金をもらっている正規と、自分の生産性より低い賃金しかもらえない非正規の二重構造になっている。

 不平等を解決するための方法、例えば労働時間ではなく成果に対して賃金を支払うとか、解雇の問題が起きた際の金銭解雇のルールを作るといったことに対して、既得権益を持った人たちがずっと拒み続けて今日に至っている。今、一部の人たちがその割を食っているわけですけれども、その背後にある大きな構造問題をちゃんと変えていかないと。一部の派遣がどうこうという話ではないんです。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6411259