https://www.asahi.com/articles/ASPD96QVYPD9TIPE02K.html
 元自民党衆院議員で文部科学副大臣などを務め、現在は九州国際大学(北九州市)学長の西川京子氏(76)が、10月に熊本県立高校であった講演会で太平洋戦争について「アジア全体を栄えさせ、独立させるための戦いだった」という趣旨の発言をしていたことがわかった。9日の県議会一般質問で取り上げられ、県教育委員会の古閑陽一教育長は事実関係を認め、「政府見解や学習指導要領とは一部異なる内容があった」との見解を示した。

 九州国際大は朝日新聞の取材に、「学長が不在で取り次ぐことができない」としている。

 県教委や高校によると、講演会は10月8日、県立御船高校の創立100周年記念行事として行われ、全生徒約490人らが体育館やオンラインで聴いた。西川氏は約1時間の講演の中盤で、太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼称した上で、その正当性を主張したという。

 講演会は同窓会や保護者会、学校職員でつくる実行委が主催。当初は元プロ野球選手を講師に予定していたがキャンセルとなり、同窓会長への一任で西川氏が選定された。学校は事前に講演内容を把握していなかったという。

 県教委は共産県議の指摘を受け、11月から同校を通じて教職員計約10人への聞き取りを実施。西川氏の発言は、日本のアジア諸国への侵略や植民地支配を認めて公式に謝罪した「村山談話」や、日本がアジアの人々に多大な損害を与えたなどとする中学校の学習指導要領と照らし、「説明が不十分だった」と判断した。