政府は、来年2月の北京冬季五輪への閣僚の派遣を見送る方向で最終調整に入った。米国や欧州が、中国の人権問題を理由に政府当局者を送らない「外交ボイコット」を相次いで表明しており、足並みをそろえる形だ。一方、スポーツ庁の室伏広治長官の派遣の可否も検討。中国への一定の配慮を示すことで、関係悪化は避けたい考えだ。

複数の政府関係者が明らかにした。政府の対応について年内にも発表する。

岸田文雄首相は米バイデン政権が表明した「外交ボイコット」について、「総合的に勘案し、国益の観点から自ら判断していきたい」と独自に判断する考えを示していた。政府は、北京五輪に閣僚を派遣しないことで米国などと歩調を合わせるとともに、岸田政権の人権重視の外交姿勢をアピールする狙いもある。

一方、来年は日中国交正常化50周年を迎えることもあり、政府内には今回の対応で中国を刺激し、日中関係が悪化することへの懸念もあった。そのため、今年夏の東京五輪に出席した中国側のトップが、閣僚級の国家体育総局長だったことを重視。閣僚ではないが、同じスポーツ政策を担うスポーツ庁の室伏長官の派遣を検討している。ただ、政府高官の派遣となるため、欧米のほか、自民党内の意見も踏まえ、可否を慎重に判断する方針だ。

また、参院議員で東京大会組織委員会の橋本聖子会長や、日本オリンピック委員会の山下泰裕会長も派遣する方向で調整。現地で国際オリンピック委員会の総会が開かれることに伴うもので、政府関係者は「政治的には関係ない」と語る。
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