新型コロナウイルスが世界を襲って以降、さらに円安は進んでいる。
21年の主要国・地域の名目実効為替レート(図2)は、円が独歩安となった。国の輸出競争力を示すとされる実質実効為替レート(図1)は、約50年ぶりの円安水準となっている。

ところが、期待された「円安→輸出増→企業収益増→賃金増→日本の内需増→インフレ→経済活性化」という成長シナリオはいっこうに実現しない。
JPモルガン証券によると、過去20年で主要国の物価は40〜50%程度上がったが、日本はわずか2.6%の伸びにとどまった。賃金も底ばい状態といっていい。

それどころか、「円安は日本経済の好循環を生まない」(みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト)と、従来の定説を真っ向から覆す見方まで出始めている。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00975/