なぜ日本人は長時間労働をやめられないのか。
エグゼクティブコーチの玉本潤一さんは「日本人には『長時間労働をしている人ほどたくさんの仕事をしている』という見方がある。だが、海外からはそうした価値観が異常なものにみえる」という――。

その大きな理由の一つは、日本の社会が顧客側に立つと快適すぎるほど快適な反面、サービス側に立つと逆に苦しさを強いられて当然という社会通念があることだと私は考えています。
「サービス側は苦しんでも、顧客に最上級のサービスを提供して当たり前」という美徳があるのです。

「お客様は神様」という言葉が、過剰に作用してしまったのではないでしょうか。

海外に出ると、日本のサービス全般のクオリティは高い、と痛感させられます。
赴任したドイツのスーパー店員のお客の扱いが雑なこと雑なこと。
どっちが客かわからなくなるほど、つっけんどんとした態度で話しかけてきます。

「おもてなし」という言葉に代表されるように、日本人は気遣いができ、サービスクオリティも高く、海外の人たちもそこを評価してくれています。

ただ、いくら顧客に対するサービスとはいえ、供給側のステート(感情状態)を崩してまでサービスするのは社会のバランスを欠いているように思います。
最終的に供給者側も社会の一員であり、家族もいるわけで、ブーメランのようにそのひずみが返ってきます。

https://president.jp/articles/-/52678