
大阪の中心地・梅田駅近くの清風堂書店で、ある文庫本の前に掲示されたPOPがネット上で話題になっている。そのPOPには手書きでこう書かれている。
《「日本国紀」文庫化 歴史改ざんファンタジー 目的は憲法改正》
『日本国紀』は、ベストセラー作家である百田尚樹氏が、2018年に幻冬舎から単行本を出版。当時、9刷までに50カ所以上の記述の誤りを修正してきた“いわくつき”の一冊だ。
このPOPについて、『日本国紀』の編集者でもあるジャーナリストの有本香氏は、ツイッター上で「特定の書籍への誹謗中傷、営業妨害と思しき行為を自らの店頭で行う驚くべき書店」と批判している。
12月22日、POPを作成した清風堂書店の面屋洋(おもやひろし)店長に話を聞いた。
「単行本の帯には『日本通史の決定版』と書いてあったのですが、『日本国紀』に書かれているのは、正しい歴史ではなく、何らかの目的に導くための“装置”として作られたものだと思っています。
単行本が出たときに、百田氏と有本氏らの「憲法改正をするべきだ」という座談を目にしたこともあったので、私の意見として『目的は憲法改正か』と出しました」
――POPについて、文句を言う人はいましたか?
「男性の方が一人、いらっしゃいました」
――反響はどうですか?
「賛否両論ですが、ほとんどはネット上ですね。
批判的なご意見は『日本人じゃないのではないか』といった内容です。攻撃的だったり、非礼だったりする物言いが多いので、あえてそれらには答えていません。一方、肯定してくださったり、楽しんでくださっているものも多いです」
一冊の本に思いを込めるのは、著者も編集者も、そして書店員も同じだ。本を直接手渡す書店の売り場で、意見を表明することは勇気ある“批評”に違いない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/12d058929eafea959ee6d72621ed089a34e12d20