遊園地の乗り物として開発された?「モンキーZ100」ってどんなバイク?

レジャーバイクとして誕生したホンダ「モンキーZ100」

 ホンダ「モンキーZ100」は、ホンダの自動車遊園地であった多摩テック用のレジャーバイクとして、1961年に発表されました。後にホンダの50ccバイクを代表するモデルに成長した、モンキーの元祖ともいわれています。

 多摩テックは「ユーザーに思う存分走れる場所を提供する」というスローガンのもと、本格的なモータースポーツランドとして2009年まで東京都日野市にあった遊園地です。「モンキーZ100」はもともと、当時の若い技術者たちが「可能な限り小さいバイクを」と試作したのが始まりと言われており、社内コンペで高評価を受けたものでした。

 Z100はそれをベースに開発され、子どもが気軽にバイクに触れられるよう熟成された一台の正式名称を「モンキーオート」といいました。

 遊園地用に特化し公道での使用は想定されていなかった「モンキーZ100」ですが、そのつくりは市販バイクにも決してひけをとらないものだったのです。モンキーの最終モデルがもつ凝縮感満載のフォルムに対し、「モンキーZ100」は随分とシンプルでフレームが目立つ外観となっており、悪い言い方をすればチープにも感じられます。

 しかし、コンパクトで万人から愛されるデザインという方向性は後のモンキーにも共通するもので、モンキーの高いアイデンティティにつながっているのです。また、三角形の樹脂タンクやアップマフラーなども、Z100がもつ外観上のアクセントになっていました。後のモンキーにも共通する機能として、「モンキーZ100」は折り畳み式ハンドルを採用していたのも特徴のひとつでしょう。

 チープともいえる外観に反して、「モンキーZ100」は遊戯車両と呼ぶにはあまりに本格的に仕上がった1台でした。ホイールこそ小径の5インチを採用しているものの、エンジンは世界的なヒット作となったスーパーカブ用の49cc空冷単気筒OHVエンジンを搭載。

 子どもでも安全に走れるようデチューンされていたとはいえ、最高速度が時速15〜20kmという性能は、実際に公道を走らせても当時の交通状況にマッチできたかもしれません。遊園地用ではありながらも3速トランスミッションを採用していたのも、走行性能にこだわったホンダらしい点でしょう。

また、本格的なエンジンに対して、サスペンションにはシンプルなリジッドサスを採用。これは「モンキーZ100」が遊園地用に限定されていたため、乗り心地や操縦性をさほど重視せずに済んだことも影響しているかもしれません。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e2ebb583f6a292514517f3e2bab177e2349dfb3b
https://i.imgur.com/wvu07V9.jpg
https://i.imgur.com/G5CsMza.jpg
https://i.imgur.com/TBK4Jn3.jpg