大阪市立の414小中学校で11月、給食にクジラが出た。メニューは竜田揚げで、約17万人の子どもが食べた計算になる。実は全国でも、鯨肉(げいにく)を給食に採り入れる自治体は少なくない。この鯨肉はどこからくるのか。学校、卸業者、捕鯨会社と、鯨肉をたどって取材した。

 大阪市で給食に出た鯨肉は計8トン。鯨専門の仲卸「奥野水産」を通じて仕入れた。大阪市東部中央卸売市場に店を構える創業96年の老舗で、主にスーパーに赤身肉を卸している。

 ずっと途絶えていたクジラ給食を、大阪市が再び始めたきっかけは、同社4代目の奥野良二社長(52)の「営業」だった。
売れ残る肉……同業者の一言に「だったら営業しよう」

 戦後の食糧難の時代、安価だった鯨肉は日本の食生活を支えた。ピークの1962年の消費量は23万トン。牛肉、鶏肉を上回ったほどだ。ただ、他の肉の生産や輸入が伸びた70年代から消費量は減少していった。

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