放射性廃棄物、輸出容認へ 「唐突」な見直しの背後に米国の思惑
スクープ 有料記事
2021/12/29 19:00(最終更新 12/29 21:14)
原発の廃炉などで生じる低レベル放射性廃棄物を巡り、米国が日本に対し、国外処分を禁じた日本の法規制の見直しを求めていたことが毎日新聞の取材で判明した。米企業が処分ビジネスを受注できるようにするためで、実際、日本政府はその後、廃炉で出る大型機器の一部に限って輸出できるように規制を見直す方針を固めた。発電が終わった後段階(バックエンド)の問題を棚上げしてきた日本の原発政策における外資依存の実態が浮かび上がる。
米高官「海外輸出、実現を」
「廃棄物ではなく、有益な材料だというのが米国の認識だ」。毎日新聞が入手した政府内資料や複数の政府関係者によると、昨年4月、米エネルギー省の次官補が経済産業省幹部に電話し、低レベル放射性廃棄物の受け入れを持ちかけた。具体的な受注先として核廃棄物処分の世界最大手、エナジーソリューションズ社(ユタ州)の名を挙げ、「日本からの輸出の実現についてできる限り支援したい」「日本政府にも支援してもらいたい」などと求めた。
国際条約では、原発の無責任な運用の防止や安全管理の徹底などの観点から、放射性廃棄物は発生した国で処分するのが原則。相手国が同意した場合などは輸出を認める例外条項もあるが、日本は発生国処分の原則を尊重し、一切の輸出を禁じてきた。米国からの電話はこの輸出規制の見直しを求めるものだった。
原発から出る放射性廃棄物は、低レベルと高レベルに大別される。「核のごみ」と呼ばれる高レベル放射性廃棄物については、政府は地下300メートルより深く埋める「地層処分」にする方針で検討している。低レベル放射性廃棄物は、使用済みのタオルや古い作業衣といった小さなものから発電に使う機器までさまざまで、人々の生活環境に影響しないように、政府は電力会社に責任を持って処分するよう求めている。
※略※
https://mainichi.jp/articles/20211228/k00/00m/020/440000c
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