安倍政権の詐欺見積もりのせいじゃん



 なぜ、そこまでこじれたのか。

 最大の要因は、費用の高騰だ。1・8兆円とされた総事業費の約8割は、日本政府の途上国援助(ODA)による円借款でまかなう。年利はわずか0・1%、償還期間は50年の破格の優遇条件。だが、合意後の計算では、約3兆円までふくれあがった。

 「牛などの動物に衝突することは避けたい」。インド側は線路の高架化など設計の変更を求めた。その後、他の費用が増えると、インド政府は「約束と違う。増額分は日本が負担すべきだ」と反発。両国は土木工事を日本企業からインド企業に変えるなどして圧縮したが、インド側は「なぜ最初からそうしないのか」。コロナ発生後は「高速鉄道よりもコロナ対策の支援を」とも口にした。双方の不信感は募り、事業は暗礁に乗り上げた。

 日本の大手商社幹部は言う。「当初の事業費を信じていた企業関係者はいない。政府は安い見積もりを示して事業を決めることを先行させた」。高速鉄道商戦を各地で中国や欧州と競い合うなか、日本政府には焦りもあった。「インドは初めから『日本政府がやりたくて持ってきたプロジェクト』と考えている」と日本政府の関係者。