大きな決断に踏み切ったのがTBSだ。
夏目三久さんが総合司会を務めていた朝の情報番組『あさチャン!』では、2014年当初からコメンテーターを日替わりで起用していたが、昨年3月に堤伸輔以外全員降板。

後番組として今年10月に放送開始した『THE TIME,』でも、コメンテーターのレギュラー出演はない。『バイキング(MORE)』同様、2時間半以上ある番組で、
コメンテーターなしに、視聴者を退屈させることなくニュースを伝えるのは制作陣としてもかなりつらい。また、若者層を取り込みたいテレビ局としては、
NHKニュースのように情報を伝えるだけの堅い印象でも、狙った視聴者は獲得できない。

そこで光るのが、総合司会の安住アナと俳優・香川照之のトーク力だ。加えて、TBSきっての人気アナ・江藤愛と宇賀神メグが脇を固め、コーナーごとに他8名の局アナが出演。
総勢11名もの局アナを動員している。安住アナの冒頭の挨拶、各ニュースの受けコメント、出演者陣とのやり取りの秀逸さには、改めて毎日驚かされる。
情報を伝えるための情報番組に置いて、やはりニュースを伝える者のアナウンス力や知見が十分であれば、コメンテーターは不要なのではないかと思わされてしまう。
もちろん安住ほどのアナウンス力、対応力を持ち合わせたアナウンサーが各局にいるかと言えば怪しく、『THE TIME,』が新たな情報番組の指標になるかはわからない。

しかし、コロナ禍を経た今、情報の伝え手・受け手の意識は確実に変化した。思えば、かつての久米宏や筑紫哲也のニュース番組ではコメンテーターは存在しなかった。
ボーダレス化した報道番組と情報番組において、より若者を中心とした視聴者の共感や支持を広げるようと、各局がワイドショー化・バラエティ化し、“タレントコメンテーター”も定番となった。

「そもそもタレントコメンテーターは、“視聴者代表”の立ち位置だった。SNSで誰もが意見を言え、それが可視化された今でも“代弁者”は必要なのか。
それに、番組や司会者の意思を汲み取った彼らの発言を“我々の代弁者”と素直に思う視聴者も番組が思うほど多くないはず」と衣輪氏。
それぞれが報道や情報をどう捉え、どう思うか、視聴者1人1人がコメンテーターとなれることが求められる時代なのかもしれない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7bbfa64d677f60e03c7e51c0900d7caeacd4f9b7?page=3