https://news.nifty.com/article/domestic/society/12311-1415765/

関東地方を中心に19都道府県で展開する『イトーヨーカ堂』が、このところ、続々と店舗(イトーヨーカドー)を閉鎖している。
衣食住にまつわる商品を取りそろえて販売してきた総合スーパー(GMS=ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)に、いったい何が起きているのか。

昨年5月、北海道旭川市で1980年にオープンしたイトーヨーカドー旭川店が、40年余りに及ぶ営業を終えて閉店した。地元の商工関係者が言う。
「本当に地元で愛された店でした。それでも閉店というのは採算が合わなかったのでしょう」

昨年9月には、愛知県刈谷市でもイトーヨーカドーの灯りが消えた。消費生活アドバイザーが解説する。
「ショッピングセンター内の核店舗だった刈谷店は、79年にオープンしました。県内に5つあるイトーヨーカドーの中でも二番目に古かったが、とうとう閉店に追い込まれてしまった」

イトーヨーカドーの閉店は、北海道や愛知県だけではない。
2019年から21年までに各地で約20店舗が閉店しており、ただならぬ状況にあるのが分かる。
今年は1月16日に日立店(茨城県)、7月には函館店(北海道)の閉店が予定されている。

流通業界関係者が、大量閉店の背景を明かす。
「イトーヨーカ堂は15年3月〜11月決算で、過去最悪となる144億円の営業赤字に陥り、抜本的な立て直しを図りました。当時の約180店舗のうち、
収益改善が見込めない40店舗を閉鎖する方針を打ち出し、現在も徐々に閉店を進めているのです」

では、不採算店が増加した要因はどこにあるのか。経営コンサルタントが分析する。
「高度成長期から90年前後のバブル期にかけて、食品から衣料品まで多品種を扱う総合スーパーは、大量仕入、大量販売方式で消費者に受け入れられ、
業績は右肩上がりに伸びていた。だが、バブル崩壊後、急速に陰りが見え始め、総合スーパーは否が応にも転換を迫られました」
業界を代表する『ダイエー』が経営難に陥り、04年に『イオン』グループと連携するようになった時点で、総合スーパーは旧来の役目を終えたとも言われる。
「ダイエーの業績悪化が表面化した頃、衣料品は『ユニクロ』『しまむら』、家電は『ヤマダ』、家具は『ニトリ』と、専門店の時代に移りつつあった。
しかし、イトーヨーカ堂は創業の原点が衣料品だったこともあり、オリジナル衣料にこだわって大胆な業態転換が遅れてしまった」(同)

総合スーパー離れの理由は、さまざまある。前出の流通業界関係者が言う。
「店舗の老朽化に加え、人口減少の中で他店との競争が激化し、採算が厳しくなったために、閉店を決断せざるを得ない総合スーパーが増えました。
また、売り上げを支えていた世代が高齢化し、身近なコンビニやミニスーパーなどで、買い物を済ませる人が急増したことも挙げられます」