Netflixが北米で値上げ 月1〜2ドル、各地に波及も

米ネットフリックスは14日、米国で動画配信サービスの利用料金を1カ月あたり1〜2ドル(約115〜230円)引き上げると発表した。価格改定は2020年10月以来で、各プランで1割強の値上げとなる。映画やゲームなど配信作品の多様化を料金に反映する。カナダでも同様の値上げをしており、世界各地に広がる可能性がある。

米国では3種類のプランをすべて値上げする。利用者が多い「スタンダード」の料金を月14ドルから15.5ドルに、4つの端末で同時に見られる「プレミアム」を月18ドルから20ドルに変更した。20年の改定時は据え置いた「ベーシック」の料金も月9ドルから10ドルに上げた。新規契約者に14日から適用し、既存の会員も契約更新時に新料金となる。

ネットフリックスの北米の会員数は21年9月時点で7402万人にのぼり、全体の35%を占める。アジア地域などと比べて会員の単価も高く、売上高(21年7〜9月期)の構成比では44%にのぼる。主力市場での値上げで収益基盤が強化されるとの思惑が広がり、同社の株価は前日比1%高で取引を終えた。

ネットフリックスはこれまでも「作品への投資」を理由に段階的な値上げを実施してきた。最近では映画やスポーツを題材にしたドキュメンタリー、モバイルゲームなどの制作に積極的に投資しており、配信する作品の数や種類の増加を料金に反映したとみられる。

一方、北米ではサプライチェーン(供給網)の混乱などに伴うインフレにより、食品や日用品といった必需品への支出増に負担を感じる人が増えている。娯楽要素の強い動画配信サービスの値上げがどこまで受け入れられるかは不透明な面もある。

ネットフリックスは日本でも21年2月に月110〜170円の値上げを実施した。同社はアジア地域での作品制作を強化しており、今回の料金改定も数カ月遅れで日本に及ぶ可能性がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1502M0V10C22A1000000/