事故が発生したの と同時刻の1時 52 分に「フィンガーコントロールユニット」の異常を示すエラー コードが確認された。このコードは、転落時に同ユニットの回路が断線又は短絡し たことを示すものであり、その際のギヤシフトレバーがニュートラルの位置にあっ たことを示唆している(ただし、このことは、4速、5速又は6速の位置にあった ギヤシフトレバーが転落時にニュートラルの位置に移動した可能性を否定するも のではない)。

各変速ギヤでの減速実験及び速度変化のシミュレーションの結果から、入山峠から 事故地点までの区間における当該運転者の運転操作について、次のことが考えられる。
・全区間を一貫して4速で走行した可能性は低い(3.2.1.2(1)のシナリオI)。
・全区間を一貫して補助ブレーキI又はIIを使用して走行した可能性は低い(3.2.1.2(2)のシナリオII)。
・事故地点手前で当該車両は、5速、6速又はニュートラルで走行していた可能性が考えられる。(3.2.1.2(3)のシナリオIII)。
したがって、シミュレーションの結果からは、当該運転者は、補助ブレーキを使用せず、かつ、入山峠以降の下り坂をギヤが5速、6速又はニュートラルの状態で走行 した可能性が高いと考えられる。
なお、3.2.2 に記載したとおり、90km/h 以下の速度では、6速→5 速のシフトダウ ン及び5速→4速のシフトダウンのいずれも実験では円滑に行えたところであり、これらのシフトダウン操作が車両の構造上できなかった訳ではないことが確認されて いる。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikochousa/pdf/1641103.pdf