ストッキング大手のアツギ(神奈川県海老名市)は20日、青森県むつ市と岩手県盛岡市に工場を置く国内生産子会社「アツギ東北」の生産業務を5月末で終了すると発表した。
新型コロナウイルスの影響による業績悪化などが理由。
地元の雇用を支えてきたむつ事業所では500人以上の従業員を抱えるが事実上の解雇となり、地元では動揺が広がっている。

 アツギは、東北での生産業務終了について、新型コロナの感染拡大でインバウンド(訪日外国人)需要が低迷したほか、在宅勤務や外出自粛など「新しい生活様式」が社会に広く浸透したことで主力商品のストッキングの需要が急速に減少し、事業環境が厳しさを増したなどと説明。
今後、生産拠点を中国の2工場に移し、コストの削減と黒字化を目指すとしている。

 アツギ東北はアツギの100%子会社で、従業員数は2工場を合わせて約610人。むつ事業所は1966年に設立され、同社の主力工場として稼働していた。
ただ、新型コロナの影響による売り上げの減少を受け、2020年7月には約330人の希望退職者を募るなど固定費の削減を進めていた。


 同社の古川雅啓執行役員管理統括は、従業員の雇用について、「労働組合との協議を経て考える。具体的なことはこれから決めていく」と述べた。

 一方、むつ市産業雇用政策課の小林睦子課長は、従業員へのサポートが必要とした上で、「500人以上という数字に驚きを隠せない。現時点では何も整理できていない状況だ」と話した。【丘絢太】

毎日新聞 2022/1/22 10:32(最終更新 1/22 10:33)
https://mainichi.jp/articles/20220122/k00/00m/020/062000c