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 1月20日の代表質問中、安倍氏は岸田首相の答弁に興味を示さず読書に没頭していた。手元にはカバーが裏返しにされた新書。安倍氏が読んでいたのはこの日に発売されたばかりの『検証 安倍政権 保守とリアリズムの政治』(文春新書)だった。同書は文字どおり、約8年続いた長期政権について、安倍氏を含む政治家へのヒアリングや統計データをもとに評価、検証した一冊だ。



 エゴサーチさながら、自らについて書かれた本を読みふけっていたとは……。しかも、カバーを裏返しているのは、“エゴサ姿” を周囲に隠蔽しておきたいということか。いささか自意識過剰にも思えるが……。



「国会では議事に関係のない本を読んではいけないという申し合わせがあるのです。総理経験者がそれを無視するのはいかがなものか」(伊藤氏)



 ルールを無視してまでエゴサをせずにはいられない安倍氏の心情について、前東京都知事の舛添要一氏はこう話す。



「じつは、この本の中心的な著者である中北浩爾君は、私の東大助教授時代の教え子で、2017年にも『自民党―「一強」の実像』(中公新書)という本を書いています。このときから『自民党が下野し、安倍総裁で復活した後になぜ長期政権にできたのか』を研究しているんです。



 安倍氏には政権再々登板への “色気” があるように思えます。検証本を読んで、『ここを直せば、もっといい政権になる』と考えることができます。“終わった” 政治家の読書じゃないですよ」



 このごろ、安倍氏はしきりに経済政策への思案を巡らせているという。関係者が話す。



「安倍政権の経済ブレーンだった本田悦朗氏に熱心に助言を求めています。本田氏は金融緩和を主導した元財務官僚。彼にアベノミクスが今後及ぼす影響を確認しているのです」



 アベノミクスで金融市場は潤ったが、庶民の賃金はほぼ横ばい。格差は拡大している。それでも、安倍氏が経済にこだわる理由を政治ジャーナリストの安積明子氏が話す。



「それは安倍さんにレガシー(政治的遺産)がないからです。憲法改正もできず、拉致被害者問題や北方領土問題は1ミリも進展しませんでした。残ったアベノミクスが、経済を好転させる可能性を必死に探っているのだと思います」



 しかし、アベノミクスに肯定的な経済評論家の山崎元氏でさえ「評価され続けるのは簡単なことではない」と話す。



「アベノミクスで日本銀行は国債やETFを買い入れ、現在は歴史的規模で大量に保有している状態です。これらを売却するのは簡単ではないために、出口戦略がしきりに論じられています。ただ、こうなることは政権時代からわかりきっていた。本田氏も今さら『今後どうなる?』と聞かれて困っていることでしょう」