「天才は1%のひらめきと、99%の努力」というが、やはり天才には、常人の努力では追いつけない才能があるという。
だが、知能が高すぎるがゆえにつらい思いをした人もいる。その知られざる苦悩とは──。

 1月15、16日に大学入学共通テストが実施され、いよいよ受験シーズン本番。
合格を勝ち取るため、寝る間も惜しんで勉強してきた受験生たちが戦いに挑んでいる。

 ところが、世の中には「勉強なんてほとんどしなくても、いつでもテストで満点を取ることができた」「大人でも解けないような難関大学の問題を、
小学生のときにスラスラ解くことができた」という神童も存在する──「ギフテッド」と呼ばれる子供たちだ。

「ギフテッド(Gifted)」とは、直訳で「贈り物を授かった人」という意味。つまり、ずば抜けた才能を天から授かって生まれた子供たちのことを指す。

 日本では明確な定義はないが、ギフテッド教育先進国のアメリカでは「学問や言語能力、芸術、創造性、リーダーシップなどさまざまな領域の
特定分野において、同年代の子供と比較して突出した才能を持っている子供」とされる。
「わずか2才で“パパは電車に乗ってお仕事に行っちゃったからおうちにいないの”とスラスラ話した」という子から、
「6才で、一度聴いた曲はすべて覚え、ピアノで再現できた」という子、「4才で進化論を理解した」
「小学生で、ジェットコースターの模型を手作りした」という子までさまざまだ。

 太田三砂貴(みさき)さんは、日本人史上最高のIQ188(※「sd24」での表記による)のギフテッドで、これはアインシュタインに匹敵する知能だといわれる。3
才で漢字を読み書きし、小学生で相対性理論を理解した太田さんは、現在は大学で素粒子物理学を学びながら、絵画や作曲の分野でも才能を発揮している。

「小学校では、授業中はアインシュタインの本などを読んで過ごしていて、中学生になっても、学校の勉強にまったく興味を持てない時期がありました。
あるときふと“自分はどれくらい勉強ができるんだろう”と思い、教科書やノートを見直してみたら、すぐに学年1位の成績を取ることができました」(太田さん)

北海道教育大学旭川校教授で『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』(小学館)著者の片桐正敏さんによれば、
ギフテッドに特に多い特徴は、高い言語力だという。

「以前、英語が得意なギフテッドの幼稚園児の相談を受けたことがあります。その子は、1才の頃にたまたまテレビに映っていた英会話のシーンを気に入って、
食い入るように見ていたそうです。保護者が試しに英語の教材を渡したらあっという間に身につけて、日本語よりも英語の方が得意になったそうです。

『アニメ』という言葉が通じず、“カートゥーン(英語でアニメの意味)を見て英語を覚えたの?”と聞いたら“先生、違うよ。cartoonだよ”と、
発音を直されてしまいました(笑い)」

 ギフテッドの判別方法の1つは、IQが130(アメリカなどでは、州によっては120)以上あるかどうか。ア
メリカでは、基準以上のIQを持つ子は、特別な学習プログラムを受けることができる。
日本でも、昨年の7〜12月に「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議」が実施された。
文科省は頑なに「ギフテッド」という言葉を用いないが、これは明らかに「ギフテッド教育支援会議」──これは、「神童を支援し、将来立派に国を引っ張ってもらえる
人材に育てよう」という優遇措置ではない。ギフテッドの中には、適切な支援なしには、普通の学校生活や家庭生活を送ることもままならない子も少なくないからだ。

https://www.news-postseven.com/archives/20220125_1722047.html/2