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電気自動車、なぜ高い? そのうち安くなる?

クルマの電動化はどんどん進んでいて、そのうち全ての新車が電気自動車(EV)になりそうな勢いですが、そうすると心配になるのは、クルマの値段です。そもそもEVは、なぜ高いのでしょうか。将来的には、軽自動車のような価格帯のEVが出てくるのでしょうか? モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。

軽EVの可能性は

EVが高い主な理由はバッテリーだ。EVが搭載するリチウムイオンバッテリーは製造にレアアースが必要だが、これが高くつく。レアアースはグローバルで需要が急増しているものの、供給面では安定的かつ需要に見合った量が確保できていない。EVの航続距離を伸ばすにはバッテリーの容量を大きくしなければならないが、そうすればレアアースの必要量も増えて高額になる。

単純比較はできないが、例えばマツダの場合、EVの「MX-30 EV Basic Set」が458.7万円であるのに対し、同じ「MX-30」のマイルドハイブリッド車(MHV)である「Basic Set e-SKYACTIV G 2.0」は249.7万円で、価格差はおよそ200万円だ。もちろん、EVを購入する際には結構な額の補助金が出たりするので、総支払い額で見れば差は縮まるのだが、それでも逆転することはない。

リチウムイオンバッテリーの価格がコントロールしにくい状況であるため、例えばEV専門のテスラは中国にギガファクトリーを建設し、そこでバッテリーを大量生産することでコストを抑えている。

日産自動車のEV「リーフ」は現行型で2世代目だが、初代と比べてバッテリー容量が増えたにもかかわらず、値上げ幅はざっくり数万円程度だ。これは、プラットフォームをキャリーオーバーしていることや、装備を見直したことによるコストダウンが大きく影響している。このように、バッテリー以外の部分を工夫することでEVの価格を抑える方法もある。

とはいえ、テスラで最も安い「モデル3」は400万円台後半から、日産「リーフ」のエントリーグレードも300万円台中盤からなので、決して安いクルマとはいえない。軽自動車のように手ごろなEVは、いつになったら登場するのか。そもそも、登場する可能性はあるのか。

三菱自動車工業はEVの軽自動車「i-MiEV」「MINICAB-MiEV」をいち早く市場投入したが、高価格なこともあり、なかなか台数を伸ばすことができなかった。2022年中には日産と共同開発した軽のフルEVを新たに発売予定で、補助金などを含めると支払い額は200万円強と伝えられている。2メーカーでの共同開発によるコストダウンとボリュームディスカウントを狙っているようだ。軽自動車を得意とするダイハツ工業とスズキも軽EV投入の方針を明らかにしている。スズキは2025年ごろの発売を目指す。

いずれにせよ、ハイブリッドを含めた軽自動車の電動化は必ず進んでいく。あとは値段が問題だが、長きにわたり軽自動車を作ってきた日本企業であれば、軽自動車を販売するにあたり価格設定がいかに重要かは重々承知なはずだ。