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今回は座薬の歴史と使用利点について書く。

11月に入って気温がぐっと下がり、暖房等で空気も乾燥してきたためか、

風邪症状で受診される方が増えてきた。これに伴って、座薬を処方する機会も増えてくる。

ところが、この座薬処方に対し、聞く耳持たずという感じで嫌厭する30代患者さんが

結構いらっしゃることに驚く。

どうも座薬はその効力と利点を考慮されないまま忌み嫌われているらしい。

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先日もそのような場面で、強い痛みが続くビジネスパーソンが嫌々ながら使用したところ、

次の再診時には本人自ら「全然平気でした。もっと下さい」と積極的に要望してきた。



座薬使用の歴史は古く、紀元前2600年頃エジプト・メソポタミアで初めて使われた。

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日本ではヨーロッパに20年遅れて戦後研究され、1950年代後半から利用され始め、1974年に起きた注射による

大腿四頭筋短縮症が社会問題化したことを契機に注射薬から坐薬への変更が促進された。



発熱、痛みひどい場合には治療に鎮痛解熱剤を用いるが、いつでも服用できる訳ではない。

西洋薬なら食後2〜3回、漢方薬でも1日3〜6包が限度である。また、吐き気がある場合も薬の服用は難しい。

そこで、坐薬の出番となるのだ。



坐薬には解熱、鎮痛、吐き気などに適応する種類と段階に応じたものがある。

新薬と違って、直腸から直接吸収されるため肝臓にダメージを与えない、胃腸障害が少ない、臭いや味が気にならない

などの優れた利点がある。坐薬の成分の90%が1時間程度で吸収される。

つまり、座薬は「身体に優しい薬」と言えよう。