それは、「服というものは永遠に着続けることができるわけじゃない」ということだ。

服をやたらと持っていた頃にはまったく気づかなかったんだが、持っている服が少ないということはそれだけ同じ服の登場回数が増えるということで、毎日のように着まくっていれば、数年もたてばどうしても生地が破れたり、シミや黄ばみなどの汚れが目についたりしてくるのであった。

もちろん可能な限り布を当てて補修などして、これはこれで一つの新しい趣味になったりもしているんだが、それも限界がある。いくらお気に入りでも、同じ服を生涯着続けるってことは物理的にできないのである。

じゃ、新しいのを買えばいいじゃないかって?

私もそう思っていた。だがそんな簡単な話じゃなかったのだ。

前にも書いたように、今私が持っている服は、何十年もかけて集めた服の中から選びに選び抜かれて生き残った精鋭中の精鋭。その超エリートたちに取って代わる服など、いくらオシャレな店を物色したり、インスタその他でせっせと情報を集めたくらいで手に入るはずもないのである。

いやね、実際買いに出かけたりもしたんです。でもどうも違う気がして購入に至らず。悩んだ揚げ句、あえて何の変哲も無い無印良品やユニクロのクルーネックセーターなど買ったりもしたんだが、似合うようでどうも似合わず、結局すぐに着なくなり処分してしまった。万人に合うスタンダードと、私に合うスタンダードは違ったのである。

そうなのだ、私に合うスタンダードとは結局のところ、前と同じようにこれからまた何十年もかけて服を買い集め、それを改めてフルイにかけるしかないんじゃないだろうか? つまりは良い服を選び抜くには長い「時間」が必要なんである。でもそんなこと、どう考えたって今からまた一からやるわけにもいかないし、やる気にもなれないし……。
https://news.livedoor.com/article/detail/21592002/
ってことで、ボロボロになった精鋭たちを身につけ、「イナガキさんここ破れてますけど……」などと指摘されつつ、笑ってごまかし内心困ったなあ、いつまで持つかなあと思って生きていたのであります。

「時の流れに耐えた服」と出会う方法