川崎市は、東京と神奈川、千葉、埼玉の1都3県の住民を対象とした本年度の「都市イメージ調査」の結果をまとめた。川崎市のイメージが「よい」と思う人は、市民で59%に上る一方、市外在住者では39%台にとどまった。市に当てはまるイメージも市民は「便利」がトップなのに対し、市外では「治安が悪い」が最多に。市民と市外在住者とで、川崎の治安を巡るイメージ認識に、大きな差がある状況が浮き彫りとなった。(安藤恭子)
 調査は昨年十一月、十五歳以上の四千人を対象にインターネットで実施。市民の「愛着・誇り」の醸成、市のイメージ向上を目的に二〇一四年度に策定された戦略プランに基づき、毎年行われている。
 市民の市への詳細イメージは「便利」「産業が盛ん」「ごちゃごちゃしている」が上位三つを占めて「治安が悪い」は四位。一方、隣接市区、横浜市、一都三県の住民のイメージは、いずれも「治安が悪い」がトップだった。
 市の治安イメージに悪影響を与えている要因を尋ねたところ、「マナーの悪い人が多い」「凶悪な事件があった」「居酒屋や繁華街が多い」の順で多かった。市内で見かけるマナーの悪さとしては「歩きスマホ」「指定場所以外でたばこを吸う」「ごみのポイ捨て」などの行為が挙がった。
 居住区の魅力を尋ねる自由記述では、川崎、幸、中原、高津で「便利」という回答が多く寄せられた一方、多摩、麻生は「自然」、宮前も生活環境への言及が目立った。市民が市に将来望むイメージは「便利」「治安がよい」「活気がある」の順だった。 
◆刑法犯「最少」
 市は昨年九月の「市政だより」で「川崎市は治安が悪いって本当?」とし、特集を組んだ。二〇一九年の人口千人当たりの刑法犯認知件数が四・三件と、政令指定都市と東京都区部の二十都市中、最少となったデータのほか、自主防犯パトロール団体などの声を伝えた。
 市のイメージに「治安が悪い」を選んだ市民の八割は、自分や身近な人の被害経験ではなく、事件の現場や報道を見たことや、ネットで悪く言われているのを見聞きした伝聞などによるもの、とも市政だよりでは反論している。
 市シティプロモーション推進室の一ノ瀬久美子担当課長は「治安が悪いイメージの払拭(ふっしょく)は市として大きな課題。刑法犯の件数などを見れば、流布しているイメージは実態と異なる部分もある。若い人向けにSNSなどでも市の姿を発信していきたい」と話している。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/157501