山形県酒田市立中学校で女子生徒が自殺した問題で、いじめの有無などを調査している市の第三者委員会が、学校の実施した全校アンケートの一部を遺族側に開示していたことが、関係者への取材で判明した。
ただ、真相解明のため、全ての開示を強く要望する遺族側の意向にはほど遠く、部分開示とした理由の説明はなかったという。愛娘が突然、命を絶ってから12日で1年。闇に包まれた真相を求める遺族は、不信と焦燥感を募らせている。【長南里香】
アンケートは、2021年9月に遺族の意向を受け、いじめの有無などを調査している学校が、全校生徒を対象に実施した。女子生徒が亡くなる半年前に、げた箱に「死ね・キモイ」と書かれた紙を入れられていたことや、伝えたいことなど五つの質問で構成。生徒の代わりに保護者も回答できるようになっており、その結果は、遺族に公開する可能性があることが明記されていた。
市いじめ防止基本方針では、調査実施中の経過報告を適時行うとし、調査中であることを理由に説明を拒むことがあってはならないと規定。1月28日の記者会見で鈴木和仁教育長は「開示の有無は答えられないが、要望に添って進めている」などと話した。
第三者委が遺族側にアンケートを開示したのは教育長が会見する1週間前の同月21日で、生徒が回答した一部の結果のみだった。黒塗りの部分もあり、保護者が回答した内容については開示されなかった。どのような基準や理由でそうなったかなど、詳細な説明はなかったという。
毎日新聞の取材に対して、父親(42)は「周りの保護者から『たくさん書いて出したよ』という声を聞いていたので、見せてもらえたら娘が亡くなった真実がわかるのではないかと思った。意味のない開示で終わった」と肩を落としている。
女子生徒は、21年2月12日午前7時50分ごろ、校舎のそばに体操着姿で倒れているのを発見された。教室にはきれいに畳まれた制服が残され、遺書が置かれていた。両親は、娘を守ってやれなかった悔しさと喪失感にさいなまれている。支え寄り添ってくれる人もいる一方で、時に心ない中傷を受けることもあるという。それでも何があったのかを知りたい――。今はその一心で過ごしている。
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