米エヌビディアが16日発表した2021年11月〜22年1月期決算は、純利益が前年同期比2.1倍の30億300万ドル(約3470億円)だった。年末商戦でゲーム用GPU(画像処理半導体)の需要が膨らんだほか、クラウド事業者を中心にデータセンターでの採用も進んだ。売上高は53%増の76億4300万ドルで、純利益とともに過去最高を更新した。

事業別ではゲーム部門の売上高が37%増の34億2000万ドルだった。ホリデーシーズンと重なり、パソコン(PC)でゲームを遊ぶ際に映像をなめらかに映すGPUの販売が伸びた。品不足が続くなかでゲーム愛好家に購入してもらいやすいよう、ほぼすべてのデスクトップPC向けGPUで暗号資産(仮想通貨)の採掘利用を防ぐ処理を済ませたという。

データセンター部門の売上高は71%増の32億6300万ドルで、8〜10月期と比べても11%増加した。クラウド企業によるデータセンター投資が堅調で、自然言語処理や推薦システムの構築といった人工知能(AI)計算のための購入も拡大した。

プロの動画編集向けの製品販売額は2.1倍の6億4300万ドルだった。エヌビディアは21年秋に仮想空間で共同作業やシミュレーションをするためのサービスを始めており、同部門の拡大に弾みがつく可能性がある。自動車向けは14%減の1億2500万ドルで、主要部門で唯一減少した。

ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は声明で「エヌビディアのコンピューティング基盤に対する、並々ならぬ需要を目の当たりにしている」と述べた。1月には米メタ(旧フェイスブック)がエヌビディアの技術を用いたAIスパコンを開発中だと明らかにしている。2〜4月期の売上高は81億ドル前後を見込んでいる。

エヌビディアは2月、英半導体設計大手アームの買収を断念した。ソフトバンクグループへの前払い金などを反映し、2〜4月期に13億6000万ドルの営業費用を計上する。

ファンCEOは「最善を尽くしたが、逆風が強すぎて規制当局に安心感を与えられなかった」と話した。一方で「アームとのプロジェクトは複数ある」と言い、今後もCPU(中央演算処理装置)の開発などでアームとの協業を重視する姿勢を示した。

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