企業に「賃上げしたら税金を安くするよ」というのは、
マーケットへの介入だ。
資本主義でもなければ自由主義でもない。
岸田首相の「新しい資本主義」は、
すでに失敗が証明されている全体主義、
あるいは計画経済の発想だ。

4月以降、賃上げを表明した企業は、
公共工事などの政府調達の入札で優遇するというのだ。

政府調達の財源は税金だ。
企業努力をせずに賃上げだけをして人件費が増えれば、
入札価格は高くなる。
入札の原則は「一円でも安く」することなのに、
入札価格が高い企業のほうを優遇して
税金を多く払うというのは、犯罪的行為だ。

合理的な経営者はきっとこう考えるだろう。

「人件費を高くするくらいなら、賃金が安い海外に、
仕事をアウトソーシングしよう。
その分、国内の従業員は減らす。
社内には特に優秀な人間だけ残して、賃上げする。
これで人件費は抑えられ、法人税の負担は減り、
公共事業も受注しやすくなる」

このように、賃金と雇用は相反関係だ。
賃金を上げて人件費の負担が増えれば、雇用は減る。
従って、分配を訴える「新しい資本主義」こそ、
実態は国内の雇用減少を促す格差拡大政策なのだ。

やはり岸田首相の「新しい資本主義」は、
21世紀の経済原則を理解していない。

堀江貴文
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