https://gendai.ismedia.jp/articles/-/92477
この超難問を考えるきっかけは、SNSで「#くいもんみんな小さくなってませんか日本」という話題が盛り上がったことでした。

私がこのハッシュタグ(SNS上で話題のテーマを示す見出しのようなもの)を学生に教えてもらったのは、2017年秋ごろのことでした。試しにこのハッシュタグで検索してみると、さまざまな商品のサイズが小さくなっていることが、たしかに話題になっていました。

クッキーのグラム数が減る、牛乳のリットルが減る、果ては中華料理の具が小さくなったといった話題まで投稿されています。なじみの商品を久しぶりに手にとった消費者が「あれ、小さくなってるじゃないか」と気づき、その怒りのやり場として投稿しているということのようです。

小さくなったとしても、サイズに比例して値段も安くなっていればさほど問題にはなりません。ですが、実際に起こっているのは、小型化・減量されているにもかかわらず値段は据え置きです。

値段が変わらずにサイズが小さくなるのは実質的な値上げですから、こんなことをこっそりやりやがってという怒りをかっているのでしょう。こっそりと値上げしているという意味で、ステルス値上げとよばれることもあります。

実例をみてみましょう。図1は、品目「マーガリン」に属する3つの商品(A、B、C)の価格と販売数量を示しています。これらの商品は同一企業により生産され、同一商品名と同一ブランド名で販売されました。

ところが、マーガリンAの重量は450グラム、マーガリンBは400グラム、マーガリンCは360グラムというように、重量が徐々に減っていっています。