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翌日有休を取ったA村さんは、所轄の労働基準監督署に出向き、自分の業務内容を説明し、「残業代が出ないのはヒドイですよね?」とぶちまけた。話を聞いた相談員は、A村さんの業務内容、勤務状況からして管理監督者とは言えないので残業代を請求できるとアドバイスをした。

その回答に元気を得たA村さんは次の日、B城課長に労働基準監督署で相談した一部始終を話した。するとB城課長はさっと顔色を変えて言った。

「わかった。当初君が提案した通り、プレゼン資料は営業担当者に作ってもらおう。そして雑用も各人で行うように徹底する。これで、君の残業はほとんどなくなるはずだ。だからこれまで通り主任として業務にあたってくれ。ただ、資料の作成や雑用を部下にやらせるとなると、部下の残業時間が増えるから、仕事を早く終了できるようにフォローを頼むよ」

A村さんは承知し、これで一件落着と思ったが……。

その日の夜、帰宅したA村さんは早速妻にこのことを話したが、妻の反応は意外なものだった。

「部下に残業させるくらいなら、あなたが今まで通りプレゼンのレジュメを作ったり雑用をした方が要領よくみんなの仕事が進むんじゃないの? 主任だって残業代をもらえるんだから、主任手当+残業代で大幅給料UPを狙えるわよ。だからがんばって!」

「なんなんだーっ!」

妻の提案にガックリしたA村さんだった。