国内で年間約850万トン排出され、海洋汚染の原因となるプラスチックごみの削減を目指す「プラスチック資源循環促進法」が、4月に施行される。
目玉の一つが、小売店や飲食店が無料で提供する使い捨てのスプーンやストローなど特定プラスチック使用製品に指定された12品目の削減だ。
企業側の取り組みに加え、消費者側もしっかり考えて行動することが求められる。 (海老名徳馬)

削減に向けた目標設定や提供方法の見直しを事業者に義務付けた十二品目は、フォークやナイフ、ホテルのカミソリ、くし、クリーニング店のハンガーなど=表。
年五トン以上扱う事業者については対策が不十分な場合、社名を公表するなどのほか、勧告や命令に従わなければ五十万円以下の罰金を科す。

コンビニ大手のローソン(東京)は四月から、持ち手を短くしたり、穴をあけたりしてプラ使用量を4〜14%減らしたフォークとスプーン、加えて木製のスプーンを導入する。
店舗ごとに穴あきと木製のどちらかを選び、買い取る仕組み。都内の店舗から配り始め、八月末までに全国に広める予定だ。従来通り、希望する人に無料で配るが、
仮にチェーン全体で穴あきを取り入れると、プラ使用量は年間六十七トン減るという。

ホテル業界も対応を急ぐ。大津市の琵琶湖ホテルは四月から、客室に歯ブラシやひげそり、くしなどを置くのをやめる。
使い慣れた品を持参するよう提案し、希望者には繰り返し使える歯ブラシやひげそりなどを販売する。担当者は「多様な生物がすむ琵琶湖畔のホテルとして環境と観光を両立させたい」と話す。
 これら二つの例が示すように、どう削減を進めるかは、それぞれの事業者の判断に委ねられる。具体的には、プラ製品の有料化▽受け取らない人へのポイント還元▽使うかどうかの意思確認
▽木や紙といった再生可能な原料を使った製品の使用−などだ。

二〇二〇年七月に一斉に有料化されたレジ袋の場合、日本フランチャイズチェーン協会によるとコンビニでの辞退率は75%に。有料化前の二・六倍だ。
今回は取り組みが企業によって違うため「消費者も一人一人が新法の内容を理解し、本当に必要かどうか、プラ製品との付き合い方を考えるきっかけにしてほしい」と
京都大大学院准教授の浅利美鈴さん(44)は期待する。

新法では、他にもプラ使用量の減量や再生しやすい原料を使った製品を、国が認定する制度がスタート。認定製品はインターネット上で公開する予定で、環境省は「消費者が選んで買えるようになる」と話す。

自治体による分別収集も強化。現在は可燃ごみとされることが多い容器包装以外のプラ製品を、資源ごみとして回収することを市区町村の努力義務とする。
例えば筆記用具やおもちゃ、DVDなどが考えられる。浅利さんは、新法を「企業、行政から消費者まで『オールジャパン』で循環型社会を目指す内容」と評する。

国は一九年、レジ袋やペットボトル、食品トレー、ストローなど、一般的に一度使うとごみとして出される使い捨てプラの排出量を三〇年までに25%削減する目標を掲げた。
浅利さんは「達成には、かなり全速力で取り組まないといけない」と訴える。

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