「仕事中にケガをしたので、念のため病院に行きました。入り口で液晶に顔が映るタイプの体温計で検温。体温は36.4度と平熱でした。外科の受付で、再度、看護師さんに検温を求められた。今度は脇に挟む体温計でした。入り口で検温した旨を伝えると、“すみません、あれ意味ないんですよ”と言われて……。当然、きちんとした体温を医師と看護師に把握してもらう必要があると思いますが、意味ないんだ……って」(診察を受けた女性)

 このコロナ禍にあって、日常の義務となった代表格がマスクの着用、消毒、そして検温だ。さまざまな場所で、入り口に体温計が置かれ、検温が行われる。しかし、その体温は“正しい”のか。

「正直、入り口にある体温計ほとんどで平熱より低い体温しか出たことがないです。自分の平熱は36度5、6分なんですけど、だいたい35度台になる。一度、とある施設にあった消毒と同時に検温をするタイプの機械は、両手を開いてかざすもので、表示されたのは33.5度……。こんなの病院に行かなきゃいけないレベルに低い体温じゃないかと思いました」

 そう話すのは、都内在住、会社員の男性。年齢は30代で冷え性などの症状もない。コロナ禍にあって高熱は心配すべき状態だが、33度という低体温も病気を疑うべきものだろう。

「顔を映すタイプの体温計は、液晶に楕円形が表示されて、その中に顔を入れてくださいという指示が出るものが多いですが、なかなか体温が表示されないことも。液晶には“近づいてください”の文字が表示され続け、近づいても、きれいに円の中に顔を入れてもまったく体温が計測されない。ある家電量販店ではなかなか表示されないので行列ができていました。結局みんな表示されないので無視して入店していました」(同・会社員男性)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b2dd5e7c480699f08a7dd5581e85be5c318cf33

 コロナ禍の今、このような体験を多くの人がしているのではないだろうか。はたしてこれはどのようにすれば“正しく”測れるものなのか。ここまでのようなケースは、“入り口検温”の定番である『非接触型体温計』で起こる。文字どおり肌などに触れずに検温するタイプだ。この2年でこれらは一般化されたといえるが、ここまでのように非常に低い数値となることも多い。はたしてその意味はあるのだろうか。

「正直言って、非接触型の体温計は誤差が出ることが非常に多いです。ただ、結論としましては非接触型だとしてもやったほうがいいですね。誤差範囲を超えた熱のある人は確実にチェックできます」

 そう話すのは、新潟大学名誉教授で医療統計の第一人者と呼ばれる医学博士の岡田正彦先生。そもそもなぜ、非接触型の体温計は低い数値を出してしまうことがあるのか。

「検温に限りませんが、何についても正しく測るという行為は“基準点”を設け、“補正”することが必要です。